実学に根ざした応用力と実践力を養成する校風2004年の設立以来、「ビジネス」「クリエイティビティ」「ICT」の融合こそがこれからの社会において重要だと考え、学術の研究だけでなく、実学に根ざす応用力と実践力の養成に力を入れ続けてきたデジタルハリウッド大学大学院(DHGS)。そうしたカリキュラムの集大成ともいえるイベント「デジコレ7」が、2月25日(土)に開催された。
「デジコレ7」は2016年度の修了生が行う成果発表会。ビジネスプランだけでなく、実効性の高いプロトタイプの制作を重視する同校らしく、さまざまなサービスやアプリケーション、プロダクトに昇華されたプレゼンテーションが行われた。“多様な院生が集まる”同校の名物イベントとして、毎回楽しみに参加する人も多いという。
これまでにも数々の起業家を輩出し、産学連携プロジェクトの推進に力を入れながら、さまざまな価値を提供してきたDHGS。選抜を経て選ばれた今回の10人の登壇者たちにも、その期待が集まったのは言うまでもない。
多彩なプレゼンテーションの数々事前予約を行えば誰でも観覧できるとあり、過去最高となる240人超の来場者で一杯になった会場。
来場者たちは、最初の登壇者の発表でいきなり度肝を抜かれることになる。ファッションテクノロジーの追求と「人の命を救う服を作る」をコンセプトに、ファッションデザイナーのOlga氏が生み出した「アイロン接着できる電子回路」と、それを使った「HEATER PARKER」のプレゼンテーションだ。東日本大震災の被災地である仙台市を例に、避難所の備蓄品の数が圧倒的に足りないことに着目し、衣服以外への応用の可能性もアピールしたその内容は非常に興味深いものだった。
その後も、茂出木謙太郎氏による「遠隔操作で360°撮影できるカメラ用ドリー」、栗原知也氏による「空きスペースの有効活用で収益化を目指す、リアルタイム予約が可能なコインスペース」など、多彩なテーマの発表が続く。
特に注目が高かったのが、近年、同校で増えているヘルスケア領域に取り組んだサービス。少子高齢化社会で避けられない「看取り難民」という問題解決のためのネットワーク「退院支援ナビ」は、ヘルスケア領域からイノベーションを起こし、世界に通用するサービスを目指したものだ。高丸慶氏のこの発表は、来場者による投票で「Good Presentation Award」に選出された。
MVPには事業化支援金100万円を助成栄えあるMVPに輝いたのは、建設会社勤務の岡崎大祐氏が考案した「採寸コミュニケーション革命を起こすソフトウェア『SHUTT』」。キーホルダー型の小型デバイスで、建築分野にテクノロジーを応用した斬新なプロダクトだ。
「建設現場で働きながら感じている不便さをデジタル化で解消したいと考え、DHGSに入学。学びのひとつずつが積み重なり、大きなイノベーションにつながっていく手応えを感じています」と岡崎氏。MVPに贈られる、事業化支援金100万円の助成を受ける権利を笑顔で受け取った。
当日は、ゲストスピーカーも登壇。同校の修了生で最近では三越伊勢丹との産学連携プロジェクトも手掛けるモード・ファクトリー・ドット・コム代表の平田元吉氏、ハコスコ代表取締役の藤井直敬氏、そして本誌編集長・高野真の3人だ。
平田氏は自身の活動内容を紹介するとともに、院生たちに「本当にやりたいことを問い続けてほしい。そのためにまず自分が当事者になること、そうすれば周りが動いていくものです」とメッセージ。
藤井氏は「アイデアを削ぎ落とし続けた結果、残ったピュアな価値は『思想』に近いもの。大事なのは、それを世の中に広げていけるスケーラビリティー。そこを考慮しなければお金にならないし、続かないんです」と自身の経験からのアドバイスを送った。
藤井氏に続いて壇上に上がった高野編集長は、「大学院の研究成果は得てして面白いものが少ない中、非常に面白い発表が多かった。私も個人的に投資したいと思うものがあった」と会場をざわつかせた。さらに、起業家支援の立場から学発ベンチャーが増えることに期待を寄せながら、「これからのビジネスはグローバルの視点が不可欠。メディアを運営する側として、微力ながら私もヘルプしていきたい」とエールを送った。
DHGSから生まれる、よりよい人類社会表彰式の後、最後に登壇した杉山知之学長は、閉会の言葉として「仕事の中で直面した課題に対し、今のデジタルテクノロジーを加えることで、もっと楽しく仕事ができるようになります。まさにDHGSがテーマに掲げる『Entertainment. It’s everything.』(すべてをエンタテインメントにせよ)です。フロントを推し進めていくのは大変なことですが、夢見ることを忘れずに、DHGSという場を通して世界にも貢献していきたい。その思いを信じてくれる人はぜひ仲間となって、よりよい人類社会を一緒につくっていきましょう」と締めくくった。
社内新規プロジェクトの立ち上げや、自身での独立・起業の実現など、院生たちの目的は様々。今の時代にこそ求められる、実学に根ざす応用力と実践力を養成するDHGSは、今後も日本がものづくり大国であり続けるための、重要な役割を担っていくに違いないと感じさせるイベントだった。
デジタルハリウッド大学大学院◎超高度情報化社会において、デジタルコミュニケーションを駆使し、社会に「変革」を起こす人材を輩出するために設立された、社会人のための専門職大学院。実学に根ざした応用力と実践力の養成に力を入れる。
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