金銭的な満足度と最も関連が深いのは、安定した収入だ。非営利団体のピュー慈善財団が発表した報告書によると、安定収入のある世帯は、そうでない世帯に比べてより金銭面で安心感があるという。
同財団では2014年にも同様の調査を行っており、当時の回答者を対象に前回の調査から収入に変化があったか、金銭的満足度に変化はあったかを尋ねた。その結果、当然ながら、収入の減少は大きなストレスになることが判明した。だが収入の急増もまた、ストレスになり得ることが分かった。
「収入が急増した場合、家計の管理が難しくなり、逆に安心感を得られなくなることがある」と、同財団のエリン・カリアーは報告書のブリーフィングの中で指摘した。
私たちの多くは、収入増加というこの”問題”を経験したいと考えるものだ。しかし、実際に収入が大幅に(25%以上)増加した人々を検証したところ、75%以上の収入増を報告したほとんどは独身のミレニアル世代で、年収2万5000ドル(約287万円)未満の労働者だった。
また、収入の増減は経済的な打撃に耐える能力にも関連していることも判明した。安定収入のある人々の72%が、2015年に 「金銭的に困ることはなかった」と回答。つまり、請求書に対して支払いができなかったり、年金・退職金に頼ることはなかった。収入増の人で同じ回答をしたのは全体の64%、収入減の人では63%だった。
貯蓄額については、安定収入のある人々は平均5500ドル(約63万円)だったのに対し、収入増の人々は3000ドル(約34万円)、収入減の人々は1500ドル(約17万円)だった。
特にミレニアル世代は収入の変動を経験する可能性が高く、その多くはキャリアの成長段階に突入したことと関係がある。ほかにも税の還付や残業代、ボーナス、結婚・同棲による世帯収入の増加などで、予想外に収入が増えることがある。加えて、ギグ・エコノミー(ネット経由で入ってくる単発の仕事)による臨時収入も、収入の変動の新たな要因となっている。
こうしたなかで、上手に家計管理をする上で役立つ3つのテクニックを紹介する。
1.明日はもっと多く貯蓄を
この考え方は行動経済学者によって実証済みで、確実な方法だ。経済学者のリチャード・セイラーやシェロモ・ベナルチが発見したように、「今」より「将来」にもっと貯蓄しようと考える方が簡単だ。今年は今までより多く稼げる見通しがあるならば、その余分な収入を貯蓄する計画を立てよう。
2.自動的に貯める
フィンテックの普及によって、Digitのようなアプリを使って自動で貯蓄を行うことが可能になった。Digitはあなたの資金を分析して余剰収入を探し、そのお金を使ってしまう前に貯蓄に回してくれる。
3.上司と協力して見直しを
賢い雇用主は、金銭的なストレスがビジネスに悪影響であることを理解している。給与が不十分だと思う部分があれば上司に見直しを提案しよう。先見の明のある一部の企業では、万が一の時のための貯蓄を促進している。