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X JAPAN YOSHIKI氏

人気絶頂から海外進出、不和、解散、そしてメンバーの死。数々の挫折と失敗、絶望を乗り越えてきたバンド「X JAPAN」のリーダーで日本を代表するミュージシャンのYOSHIKI氏は、楽天の三木谷浩史氏を始めとするエグゼクティブや起業家たちとも親交が深く、自身も電気自動車の開発会社に出資するなど、個人投資家としての顔も持つ。

YOSHIKI氏のような「一流のアーティスト」と「一流のビジネスパーソン」の間には、どんな共通点があるのか。制作拠点のアメリカから一時帰国中のYOSHIKI氏にインタビューし、そのヒントを探る。

父の死、そしてメンバーの死をどう乗り越えたか

──現在公開中のドキュメンタリー映画『WE ARE X』では、決して順風満帆とは言えなかったX JAPANのこれまでが描かれていました。トラブルや失敗を経験しても、YOSHIKIさんが走り続けることができたのはなぜですか?

YOSHIKI:いつも死が身近にあったからだと思います。映画でも触れられていますが、僕は父親を早くに亡くしています。その亡くなり方が自殺だったこともあり、「人はなんで生きているんだろう」ということをいつも考えて生きてきたんです。生きているからには、何らかの使命を持っているのだろう。であれば、死ぬまでにその使命を達成するべきじゃないか、と。何かに「生かされている」という感覚に近いかもしれません。

──映画冒頭の「でも僕が死を迎える時 僕は少なくとも一生懸命やった できることはみんなやった って言えると思う」というYOSHIKIさんの言葉が印象的でした。「生かされている」というのは、どんなときに実感するのですか?

YOSHIKI:例えば、X JAPANのボーカルであり幼馴染でもあるTOSHI(のちに表記をToshlに変更)が脱退して、バンドが一度解散することになり、再結成をしようとしていたタイミングでギターのHIDEが死んでしまったとき。僕は相当落ち込んで、自殺願望が強くなってしまって、精神科医のところに通っていたんです。「もう音楽を止めよう」とすら思っていました。音楽をしていること自体が、悲しい思い出を呼び起こしてしまうので。

そんなときにオファーをいただいたのが『天皇陛下御即位十年をお祝いする国民祭典』の奉祝曲の制作でした。天皇皇后両陛下の御前で演奏をするために、ひさしぶりに表舞台に立つことになったんですね。もちろん、それは天皇陛下、日本のための曲なのですが、自分自身の10年を振り返るきっかけにもなって。曲ができた時に「やはり僕は音楽でしか生きられない」と思えたんです。

演奏を終えて、大きな拍手や歓声をいただいたときに、ずっと無条件で応援してくれていたファンの方々のありがたみも実感しました。本来、僕は「自分で生きている」と思っていたタイプだったのですが、このときは本当に「生かされている」と思いましたね。

世界的な評価は「25年間挑戦し続けた」から

──過去にも挑戦した海外進出ですが、現在、X JAPANは世界的な評価も高まっています。YOSHIKIさんは「失敗」をどのように捉えていますか?

YOSHIKI:「失敗」というのは、その言葉を口にしたときに「失敗」になると思うんです。もし、永遠に挑戦し続けたら、絶対に失敗しないじゃないですか。だから、僕は「いつまで」という期限をあえて設定しなかった。

ミュージシャンが海外進出に挑戦しても、大体2〜3年で戻ってきますよね。でも、僕は何十年もやれば、負け続けるとは思えなかった。そうして、気づいたら時代がどんどん変わっていて、いつの間にか世界にX JAPANを受け入れてくれる土壌ができていた。「“X”には“無限の可能性”という意味がある」と僕はよく言いますが、本当に不可能なことはないんだと感じます。

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僕は父親とメンバーを失っています。それは、どう前向きに捉えようとしても、肯定はできないことなんです。取り返しがつかないことを経験してしまった。それに比べれば、他のことは失敗でもなんでもないと思っています。例えば「アルバムが思ったより売れなかった」としても、それで死ぬわけじゃないので。「じゃあ次どうすればいいんだっけ」と考えればいい。

それに、全てが成功してしまったら、つまらない人生だと思うんです。仮に人生がモノポリーのようなものだとして、一度も悪いマスに止まらずにゴールしてしまったら、つまらない。「何を以て素晴らしい人生と言えるのか」と僕はずっと考え続けているのですが、成功だけが素晴らしい人生だとは、どうしても思えないんです。人生を全うする上では、挫折や失敗が必要なのではないでしょうか。

重要なのは「挫折」でも「失敗」でも、あるいは「成功」でも、その瞬間を全力で生きることです。諦めることで、一生悔いが残る人生を送るくらいだったら、その場で老いさらばえてしまった方がいい。「明日のことを思うがために、今のこの瞬間を犠牲にする」ということはしたくないので。死が近くにあったことによって、人生観が多少変わったのかなとも思います。僕は死というものすごくネガティブなエネルギーを、なんとかポジティブに変えてここまできたんです。

文・構成=朽木誠一郎(ノオト) 写真=高橋健太郎

 

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