190か国以上で9300万人を超える会員を持つネットフリックスは、オリジナルドラマのストーリーの展開を複数用意してインタラクティブな体験を実現する。リード・ヘイスティングスCEOは「インタラクティブ性の導入には巨大な可能性がある」と英デイリー・メール紙に語っている。
同社はこの試みを2017年中に、子供向け番組で実験する予定だ。この試みが成功すれば大人向けの番組でも導入する。インタラクティブ型のドラマは今後製作される新シリーズに限られるのか、既に放送中のシリーズを含むのかは明かされていない。
インタラクティブ作品では役者に複数のストーリーを演じてもらう必要はあるが、可能性は無限に広がる。例えば大人気ドラマ「オレンジ・イズ・ニュー・ブラック」なら、囚人がギャングに加わるかどうかを決めることができるようになるかもしれない。
複雑な構成では、ストーリーの分岐点で何通りもの選択肢を用意し、視聴者が望む展開を完全に実現できるようになるかもしれない。観ているだけでは満足できない視聴者にとってはたまらないサービスになるだろう。
ネットフリックスの分析サイトAllflicksを運営するVille Salminenは「全ストーリーを見たいと思う視聴者が1つの番組に何時間も費やすことも考えられる。全く違うレベルのエンゲージメントが実現する可能性もある」と分析する。
ネットフリックスの新たな取り組みは、テレビを観る体験に変革をもたらすものだ。しかし、多様な選択肢を用意することで、製作費が大幅に高くなるとSalminenは指摘する。「子供番組の方が大人向けの番組よりも単純であるため、ネットフリックスがそこから始めるのは不思議ではありません」
2016年にネットフリックスはアニメ「コング/猿の王者」でボーナスビデオが見られるオプションを用意していた。
しかし、ドラマの結末を自分で選びたい人がどれだけいるのかは疑問だ。ネットフリックスのドラマの売りは身の凍るような結末が用意されていることであり、自分で物語を選択するのは難しいかもしれない。ただ、一方でゲーマーなど一部の視聴者にはインタラクティブ性が受けるかもしれない。