ビジネス

2017.03.09

米スタバ、受難の冬 モバイル注文人気が裏目、難民支援で客離れも

Photo by Pascal Le Segretain / gettyimages

スターバックス創業者のハワード・シュルツにとっては、何とも気の毒な状況だ。というのも、最高経営責任者(CEO)の座をケビン・ジョンソン社長兼最高執行責任者(COO)に譲ると発表した途端に、同社の業績が悪化し始めたのだ。

同社が新たに導入したモバイル注文アプリは、全注文の4分の1を占めるほどの好評を得ているが、同時に店内の混雑を引き起こしてしまった。ブルームバーグによると、受け取りカウンターがあまりに混雑していたため、業を煮やして注文を取り消す客も相次いだという。

だがこの他にも、ここ最近の米国でのスターバックスの業績に悪影響を及ぼした要因は多くある。

その一例が、天気だ。米国ではこの冬、多くの地域で例年よりも暖かい気候となり、コーヒー店で暖を取ろうとする客が減った。調査会社xAD(エックスアド)によると、2月の飲食業におけるスターバックスのシェアは11%と、1月の12%から低下した。

また、競合他社はスタバの常連客を奪うべく、飲み物の値引きといったキャンペーンを展開。こうした企業には、コーヒー飲料を提供するマクドナルドやダンキンドーナツ、パネラなどがある。

さらに、政治的な逆風もあった。ヒラリー・クリントン内閣での労働長官候補とも目されていたシュルツは、難民1万人の雇用を発表し、ソーシャルメディア上で激しい反発を呼んだ。ただ、この人数は従業員全体の5%にも満たない上、こうした難民の大半は米国以外の国で雇用される見込みだ。

だが、最も深刻な打撃は、同社が自ら招いたものだった。シュルツは1月、通期の売り上げ見通しを下方修正すると発表。これが投資家に嫌気され、株価は1週間にわたり下落した。

スターバックスは果たして、これ以上の受難に耐えられるだろうか。

翻訳・編集=遠藤宗生

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