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2017.03.12

ひふみ投信が「オーナー経営者」に投資する理由

電気自動車メーカー「テスラモーターズ」と宇宙開発企業「スペースX」を経営する、天才起業家のイーロン・マスク。火星への移住計画をぶちあげるなど、未来を見据えた壮大なスケールでビジネスを動かしている。(写真=BLOOMBERG))

人生に明確な時間軸を持ち込めば、きっと自分の“本当の気持ち”が見えてくるだろう─。生き方と同じで、この「タイムホライゾン」で考えることが投資で成功するヒントになるはずだ。


読者諸賢はこれから100年生きられるとしたら、何をしたいだろうか。世界旅行?趣味の世界に浸る?100年生きるというと、壮大すぎて現実的に考えられないだろう。

本当に自分がしたいことを考えるために長い時間軸であえて考えてみることは、自分の中の本音を引き出すよい方法だと思う。私ならきれいごとでなく、挑戦したり、投資を行ったりすることがすばらしいという意識を日本人の一般的な概念にしたい。それこそ100プロジェクトだと思うから。

それでは、10年生きられるとしたら何をしたいだろうか。100年が10年になった瞬間、急に現実感が増す。人生があと10年なら、よりしたいことに集中するだろう。それは仕事だろうか?それとも家族だろうか?自分の趣味?見たいことや食べたいことだろうか。

では、人生が残り1年だったら何をしたいだろうか?10年から1年になると、さらに削ぎ落さなければいけない。いましていることが来年できないとすれば、冬という季節を楽しもうとするだろう。

それでは、人生があと1日だったら? これは非常に重い。私は、「明日が世界の終わりならばどうするだろう」と考えたことがあり、当時の結論は「大好きなそば屋で最後の食事をしたい」という結論になった。そのことをそのそば屋の店主に伝えたら、「お客さん、そのときは家族で食事をしますから、お店は閉めます」といわれて、妙に納得した記憶がある。1日しか人生がなければ、大切な人と過ごしたいと思うはずだ。では、その人は誰だろうか?

じつは、これは琉球銀行のブランドビデオ「your TIME」内の問題提起だ。非常に多くの気づきがあると思うので、ぜひご覧いただきたい。

人生があと100年だったら? もしくは人生が残り1日だったら?

長い目標と短い目標をそれぞれ考えてみると、自分の正直な気持ちが見えてくる。自分と向き合うことは難しい。そのときに「時間」という概念を入れて向き合うと、自分の本音が見えてくる。人生があと1日だったら、何をしたいか─。それこそがいま、あなたがすべきことかもしれない。

オーナー経営者に投資する理由

投資の仕事をしていていつも思うのは、投資では時間が最も重要な資源であるということだ。それを専門的には「タイムホライゾン」という。要するに、投資期間のことである。

これも投資期間が100年なのか、10年なのか、1年なのか、1日なのかで考え方や戦略がまったく変わってくる。

Aという会社が売りか買いなのかというのも、投資期間の設定で変わる。「明日までにリターンを出したい」という投資は投機に近く、博打性が高い。Aという会社の価値よりも、株式市場の変動の要因を強く受けるからだ。その場合の投資は、明日の市場の読みという要素が強くなる。
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文=藤野英人

この記事は 「Forbes JAPAN No.32 2017年3月号(2017/01/25発売)」に掲載されています。 定期購読はこちら >>

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