同社は、アフリカやアジアの銀行口座を持たない人々、あるいは銀行以外で取引を行う人々にクレジットスコア(支払い履歴、クレジットカード使用歴などを元に計算される信用偏差値)を与え、10~500ドルの少額を融資するスタートアップ。融資の申し込みは専用のAndroidアプリを通して行われ、タラは申請者のスマートフォン上の支払い履歴、移動履歴などのビッグデータにアクセスして独自のクレジットスコアを作成する。アプリのダウンロードから融資承認までにかかる時間はたったの5分だ。
同社の30日ローンの融資対象のうち66%が小規模企業で、36%を女性が占める。途上国における女性の地位を考えると、36%は大きな数字と言えるだろう。「世界の新興市場では、資金にアクセスできる小規模企業の女性経営者はわずか7%です」と、創業者CEOのシヴァニ・シロヤは言う。平均貸し出し額は50ドル。利息は11%で、返済は90%を超える。
現在、タラは東アフリカと東南アジア諸国で展開中だが、今回の資金調達を受けて南アジアや中南米への進出を狙っており、シロヤ率いる75人のチームが各国のマーケットを調査中だ。「米国内でさえ、金融機関から不当な評価を受けている人が約7000万人いる」とシロヤは話す。
シロヤは金融大手UBSのエクイティリサーチ部門に勤務した後、コロンビア大学で公衆衛生の修士号を取得。その後、国連人口基金のマイクロファイナンス関連プロジェクトのメンバーとしてアフリカとアジアに2年半滞在し、9カ国4500人の起業家にインタビューして彼らの仕事の仕方やお金の使い方、生活パターンなどを調査した。その過程で、伝統的な金融機関が信用度を判断する際に、相手の暮らしぶりを考慮していないことを改めて実感したという。
フィンテック関連に注力の大手VCが支援
「もしも私が同じ事業内容の5社の中から融資先を選ぶとしたら、相手の情報をどれだけ持っているかが判断基準になるでしょう。現代では、テクノロジーを使ってその情報を自動的に入手することができます。既成のソフトウェアをパーソナイズすることはそれほど大変ではありません。この評価方法をもっと推進すべきです」
今回の資金調達でリードインベスターを務めたベンチャーキャピタルのIVPは、米国内のクレジットスコアの低いヒスパニックに貸付を行うOpportunや、学生ローンの乗り換えサービスを提供するSofiなど、急成長中のフィンテック企業への出資で知られる。同社ジェネラルパートナーのジュールス・モルツは、競争の激しいマイクロファイナンス業界において、タラはBranch(Kivaの元CEOが創業したスタートアップ)と並ぶ有望なスタートアップだと評価しており、「(マイクロファイナンスは)多くのチャンスが横たわる巨大なマーケットです」と語った。
他のインベスターはRibbit Capitalと、初期段階から出資していたLowercase Capital、Data Collective、Collaborative Fundなど。