3月1日、ベルリンで開催のイベントでネットフリックスCEOのリード・ヘイスティングは「これまで欧州で90以上の番組に対し17億5000万ドル(約2000億円)以上を投資してきた」と述べた。同社の投資対象にはオリジナルコンテンツや、共同製作、ライセンス契約等が含まれ、今後も投資を拡大するという。
ネットフリックスは世界で9300万人の会員を持ち、ヘイスティングは間もなく1億人を突破すると予測。その半分が米国以外の会員だ。同社は現在190ヶ国以上に進出し、13ヶ国語に対応。ルーマニア語やギリシア語にも間もなく対応する。
「ヨーロッパは非常に多様で豊かなカルチャーを誇り、人々は新たなエンターテインメントを貪欲に求めている」と調査企業コムスコアのアナリストPaul Dergarabedianは述べる。「ネットフリックスは欧州での成長可能性の高さを認識し、さらに規模を拡大しようとしている」
直近の四半期決算の結果を見た関係者からは、ネットフリックスの米国での成長は限界にさしかかっているとの指摘もあがる。ニュースメディアCordcutting.comとネットフリックスの調査サイトAllflicksを運営するVille Salminenは「米国でのネットフリックスの成長は他の国に比べて非常に緩やかだ」と述べる。
「2016年のQ4時点での米国での利用者は4940万人で、その前年は4470万人だった。これは年間成長率が10.5%ということになる。しかし、2015年Q4に3000万人だった米国外の利用者は1年で47.8%も伸びて、2016年に4440万人になった」
さらに、ネットフリックスが米国以外の地域への注力を進めていることは、各国の配信タイトル数からも見て取れる。Salminenによると、ネットフリックスの米国での配信タイトル数は2年間で約3分の1、ざっと2500タイトルが減少したと指摘する。2014年1月に米国での番組数は映画とテレビ番組の合計で8103タイトルだった。それが2016年3月には5532タイトルまで減少していたという。
しかし、このような傾向は米国に限ったことだ。例えばカナダでは2014年の3021タイトルから2016年4月には3365タイトルに伸びた。英国でも状況は同じで、2739タイトルから2993タイトルに伸びている。
「エンターテインメントは真にグローバルなジャンルであり、ネットフリックスが欧州に注力するのは正しい選択だ」とコムスコアのDergarabedianは述べる。「ネットフリックスのオリジナル番組はグローバルなオーディエンスを魅了し、大手の映画会社と同じ方向に進んでいる。ユーザーの居住地を問わずコンテンツが届けられるのはストリーミング企業ならではの強みだ」