絶対に受けてはいけない10のはり治療

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なぜ人々は、自分の体に効果がないばかりか、時に害をもたらすようなことをし続けるのだろうか。自己破壊的とも思えるこうした行為は、えせ医学が横行する要因となっている。

オーストラリアの研究チームは5年前に医学誌「Medical Journal of Australia」に発表した論文で、数千種類もの医療行為を検証し、効果がなかったり、逆に人体に害を及ぼしたりする156種を特定した。ここでその全てを紹介することはできないが、中でも特にばかげているのが、はり治療だ。

論文で問題視されたはり治療はいずれも、妥当性がゼロであるのにもかかわらず、はり師たちによって推奨されている。本記事ではこの論文に基づき、効果がなかったり、人体に害を及ぼしたりすることが科学的に実証されている10のはり治療を紹介する。

1. 妊婦に対するはり治療。論文はこう指摘している。「陣痛誘発のためのはり治療は、効果または弊害を証明する十分な証拠がなく、推奨されない」

2. 子宮類線維腫に対するはり治療。「子宮類線維腫に対するはり治療の効果を示す信頼できる証拠は存在しない」と論文は指摘している。子宮類線維腫については効果ある治療法が多数あり、はり治療で治癒できるかもしれないという主張はナンセンスだ。

3. 過敏性腸症候群(IBS)に対するはり治療。先行研究からは「IBSへのはり治療は、総体的症状、痛み、生活の質において、偽薬(プラシーボ)と比べ有意な効果はない」ことが分かっている。

4. 滲出性中耳炎(OME)に対するはり治療。これは子どもによく見られる病気だが、過去の研究でははり治療の効能は確認されず、「OME患者の治療に用いられるべきではない」との結論が出されている。

5. 男性における下部尿路の症状に対するはり治療。これも効果はない。いったいどこにはりを刺すのだろうか…。

6. 高ビリルビン血症に対するはり治療。「黄疸(おうだん)」とも呼ばれるこの症状は、新生児に多くみられる。生まれたての赤ちゃんにはり治療を行うなど、率直に言って原始的で残酷だ。論文は「高ビリルビン血症に対するはり治療を支持する証拠は存在しなく、NICE(国立医療技術評価機構)はこの治療法をこの人口層に使用しないことを勧告する」と結論している。
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編集・翻訳=遠藤宗生

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