一方、文字ほどはっきりと目に見えるものではない形で同様のメッセージを伝えようとしたのは、ライアン・ロッシュやジェイソン・ウー、ガブリエラ・ハースト、その他のデザイナーたちだ。
民主党の大統領候補だったヒラリー・クリントンが不評を買った選挙戦中のユニフォームであり、支持者たちがフェイスブック上で組織したグループ、「パンツスーツ・ネーション」の基になったパンツスーツをイメージしたと思われる新作を発表した。
実際にそれをイメージしたかどうかは解釈の仕方次第だが、ファッション業界はクリントン支持が多数を占めていた。それを考えれば、クリントンがこのトレンドのきっかっけになった可能性があると見ることはできる。
多様性をファッションの「標準」に
そして、最も感動的だったのは、人種や宗教、体格の異なるモデルたちがキャットウォークを美しく飾ったことだった。多様性は常に、ファッション業界に掲げられてきた問題だ。「私たち全員が人間だ」というメッセージを促進する努力において、このイベントは事実上のるつぼだった。
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特にマラ・ホフマンのプレゼンテーションは素晴らしかった。強く、固い決意を持った女性たちを起用したことが、オーガニックの素材で作られたホフマンの秀逸なコレクションを一層見事なものにした。
ファッションにおいて、トレンドは生まれては消えていくものだ。だが、ニューヨークのデザイナーたちが今後も、多様性をファッションの標準に変えていくための努力を最前線で続けていってくれることを願いたい。