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ツイッターを上場させ、スマホによるカード決済サービス「スクエア」を成功に導いたジャック・ドーシー。彼はいかに2つの「革命的企業」をつくりあげたのか。
第2のスティーブ・ジョブズとも評されるアントレプレナーの、組織づくりと哲学とは。


 天才起業家として知られるジャック・ドーシー。彼を、アップル創業者の故スティーブ・ジョブズになぞらえる声は少なくない。なぜ、ドーシーはジョブズを想起させるのか―。ひとつは彼が希有なイノベーターであること、そしてもうひとつは、彼が桁はずれの壊し屋であり、しかも常習犯であるからだ。

 ドーシーのキャリアは一見、混沌としている。救急車やパトカーを緊急手配するためのソフトウエアを書き、大学を2度も中退し、植物画を描き、マッサージ師の資格を取り、さらにはファッションデザインにも手を出した。ツイッターとスクエアというスタートアップを続けざまに創業し、最近では政治にも興味を示す。母親には、いつになったら本当の自分を見つけるのかと嘆かれたこともあった。

 だが、ドーシーは自分自身をよくわかっていた。寄り道をするのも設計図の一部だった。散漫さは、確固たる軸をもつことと表裏一体だ。精神的・肉体的な放浪癖は集中とひらめきを生む。(中略)ひらめきが生むのは、革新的なサービスだけではない。彼が天才経営者たる所以は、“組織づくり”においてもまた、極めてイノベーティブであるからだ。起業と経営に関するドーシー独自のモデルはいま、世界中の起業家たちに刺激と想像力を与えている。


企業体はアイデアのために存在する
 少なくとも創業時、ツイッターを“会社”だと捉えたことはなかった、とドーシーは言う。
「ツイッターという概念はすばらしいものだった。会社組織は、そのアイデアのためにいわば自然にできあがったようなものだ」
 幼虫の体のまわりに固い殻ができるように、ツイッターという組織は徐々に形づくられていった。スタートアップに際し、組織の形態ではなくアイデアをなによりも重視するというこのアプローチは、のちにスクエアを起業する際にも用いられたものだ。

 ドーシーは言う。「現代において、自分のアイデアを最も効率よく形にする方法は、会社組織を用いることだ。200年前は違ったかもしれない。100年後はまったく別の形になっているはずだ」。
「いずれにしても、それらの方法論はすべて、アイデアのために存在する」

 ツイッターの人気に火がついたのは2007年。以来、その成長は著しい。クレイナー・パーキンス、DSTグローバル、ユニオン・スクエア・ベンチャーズ、ベンチマーク・キャピタルなど、名だたるベンチャーキャピタルから集めた資金は11億ドルを超える。そして08年末、ドーシーはツイッターのCEOの座を追われる。以降、会長職には留まっているものの、日常の経営からは離れることとなった。ドーシーは休まなかった。CEO解任劇からわずか数カ月後の09年2月、サンフランシスコにある、米国造幣局を見下ろすワンベッドルームの自室で、ジム・マッケルビーとともに2つめのベンチャーを創業する。のちの「スクエア」である。

 新会社のアイデアは、芸術家でもある共同創業者マッケルビーの苦い経験から生まれた。あるとき、彼がデザインした2,500ドルのガラス作品を買いたいという女性が現れた。しかし、カード決済ができなかったために、彼女はそれを断念したのだ。

 スクエアはこうして始まった。彼らが目指すのは、零細企業や個人事業主にとって、より簡単に導入できるカード決済サービスをつくり、数兆ドルの市場をもつ既存の決済システムを倒すことだ。ツイッターが、アラブ諸国の独裁政権を倒す一助となったように。(以下略、)

エリック・サビッツ

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