スコッチウイスキーの輸出が好調、ブレグジットの好影響か

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EU(欧州連合)離脱がイギリスにどのような影響を及ぼすのかは不透明だが、少なくとも1つの業界はブレグジットを喜んでいる。スコッチウイスキー業界だ。

シングルモルトのスコッチウイスキーは2016年、輸出売上高が初めて10億ポンド(約1340億円)を上回った。高級品市場での売上が伸びたことがその原因だ。

スコッチウイスキーは、その総生産量の93%が輸出されるため、輸出売上高は極めて重要となる。2015年の同売上高は9億1400万ポンド(約1277億円)だった(販売された量ではなく海外に輸送されたウイスキーの量)。

売上が伸びているのはシングルモルトに限らない。ブレンドも含むスコッチウイスキー全体の輸出売上高は2016年、40億ポンド近くに達している。ピークは2012年の42億7000万ポンドで、その後3年連続で落ち込んでいたが再び増加に転じた。ちなみにシングルモルトはスコッチウイスキー全輸出量の25%を占めているが、総生産量では全体の10%にすぎない。

これまでのところ、イギリスがEU離脱を決定したことは、ウイスキーの輸出量の増加を招いている。ポンド安で輸出価格の競争力が増しており(つまり収益もより高くなる)、離脱を問う国民投票後の2016年後半、スコッチウイスキーの輸出量は急増した。

では、どこの国が購入しているのだろうか?

輸出増加分のうち多くはアメリカ市場に渡っている。2016年にアメリカで販売されたスコッチウイスキーは8億5560万ポンド相当で、前年よりも14.2%多かった。

次いで多いのはフランスで、総売上高は4億1620万ポンド。その後に、シンガポール、台湾、スペインが続く。シンガポールは意外な市場に思えるかもしれないが、ここからさらに東南アジアと中国にも流通されているのだ。

これまでは貿易障壁があり難しかったインド市場向けの売上も大幅に増えた。インドの蒸留酒製造所がスコッチウイスキーを大量に購入し、「インド製の洋酒」と混ぜて販売しているのだ。インド向けの輸出売上高は前年の8500万ポンドから9600万ポンドに増加した。

日本向けの輸出量も8.4%増加。輸出売上高は8220万ポンド(約115億円)に達した。ポーランド、ラトビアとオーストラリアも、それぞれ2015年よりも売上が10%超増えており、今後に大いに期待できそうだ。

編集=森 美歩

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