しかし、ニュースメディア「Wearable.com」は、その計画は頓挫したと伝えている。アナリストらはウェアラブル市場の先行きに、不安を示している。
「消費者らはスマートウォッチにまだ価値を見い出せておらず、購入するのは一部のテクノロジー好きに限られている。市場はまだ初期の段階から抜け出せていない」と調査企業IDCのアナリストは述べている。
IDCは2016年の世界のスマートウォッチ出荷台数が、前年比16%減の1600万ユニットと見込んでいる。昨年のクリスマスシーズンを含む第4四半期のスマートウォッチ出荷台数は2年前の同期と比べ、わずか1%しか伸びていないと調査企業Strategy Analyticsも述べている。
台湾の調査企業TrendForceによると、HTCがこの分野でアップルに追いつく見込みは無く、アップルだけがスマートウォッチ市場で利益を出せるメーカーだという。2016年の第4四半期に出荷されたスマートウォッチ900万台の3分の2がアップル製で、前年同期比で12%増だった(調査企業Canalysのデータ)
TrendForceでウェアラブルデバイスを担当するアナリストJason Tsaiは「市場では悲観的見方が広がる中、アップルウォッチのシリーズ2は予想以上の売上を達成した。これはアップルのブランド力のおかげだ。HTCがこの分野に参入しても、決して良い結果は生めないだろう」と指摘する。
HTCは2月14日発表の2016年第4四半期決算で1億ドル(約112億円)の純損失を計上し、7期連続の赤字となった。
HTCは現在、VR製品やハイエンドスマホ市場に注力しており、アンダーアーマーとのコラボによるフィットネスバンド「UA Band」を1月に発売した。しかし、VR分野で競争が激化する一方で同社のスマホ市場でのシェアはピーク時の2011年の11%から5%付近にまで低下している。
ただし、HTCはまだスマートウォッチを諦めていないとの見方もある。台北のマーケティング企業のアナリストは「今もなおHTCにスマートウォッチ部品を提供していると述べるサプライヤーも居る。HTCはアップルウォッチやシャオミウォッチにはブランド力や収益性でかなわないと感じ、立ち上げを延期しているのだ。しかし、まだ完全に諦めたとは言えない」と述べた。