大企業若手が手を組む「One JAPAN」 40社250人の挑戦

山本将裕(左)濱松 誠(中央)大川陽介(右)

2016年9月に発足した、日本を代表する大企業40社の若手社員が集う有志団体「One JAPAN」。彼らは何を目指し、何に挑んでいるのか。


「富士ゼロックスの共創プロジェクトで生まれた『クリエイティブコミュニケーションロボット』に、One JAPANのマッキャン・ワールドグループ、日本IBM、野村総研の有志団体のメンバーが参画した企業横断プロジェクトが立ち上がっています」

パナソニック、トヨタ自動車、日本郵便、NTTグループ、ホンダ、塩野義製薬、JR東日本─、日本を代表する大企業40社、若手社員250人が参加する有志団体「One JAPAN」。その発起人のひとりである富士ゼロックスの大川陽介はそう話す。2016年9月の発足以降、こうした“新たなつながり”によるコラボレーションや新プロジェクトが複数立ち上がっている。

トヨタのオープンイノベーションプログラム「TOYOTA NEXT」に向けて事業案を出すという挑戦、教育や育児、介護離職、地方創生、貧困などの社会問題を扱うソーシャルインパクト分科会、勉強会のノウハウのメディア化、若手社員への意識調査の白書化の取り組みなど、すでに10を越えるプロジェクトが始動している。「大企業が抱える共通の課題を未来の自分たちのために変えていく」─。大企業の若手有志組織が集う「One JAPAN」。だからこそ、国への提言ではなく、こうした「実践共同体」であることにこだわる。

現在、参加メンバーの職種は研究開発・エンジニア、経営企画・事業企画、営業・マーケティング、広報、デザイナー、人事、経理と多岐にわたり、約3カ月に1度、全員会合を開く。また、1カ月に1度、参加企業の代表者が集う場を設ける。その他、分科会、イベントなど、One JAPAN関係のリアルなつながりは日常的に起こっている。また、ビジネスチャットツール「チャットワーク」を用いて分科会やプロジェクト単位など数十のスレッドに分かれて、デジタルでも同時並行的に情報交換や意思疎通を行うなど、業務外の有志活動だからこそ、効率化した方法を追求している。

彼らが大事にしている言葉がひとつある。「コレクティブ・インパクト」だ。企業や個人が立場を超えて集まり、お互いの強みを出し合い、社会的課題の解決を目指すアプローチという意味である。大企業の組織内外の壁を超えて、変革者に必要なエコシステムをつくり、企業、そして社会を変えるという挑戦をまさに表している。発起人のひとり、パナソニック・濱松誠は今後についてこう話す。

「まずはOne JAPAN内の相互理解を深め、我々の持つ『人と熱量』を掛け算する。それに各大企業に無数にある有形・無形の資産を掛け合わせていく。もちろん、異なるセクターとも連携する。そうすれば、小さな一歩かもしれないが、大企業の若手連携から日本社会によい影響を与えることができるのではないか」
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文=山本智之、写真=平岩亨

この記事は 「Forbes JAPAN No.33 2017年4月号(2017/02/25発売)」に掲載されています。 定期購読はこちら >>

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