2017年1月30日、投資家注目のアワード『ファンド オブ ザ イヤー2016』が開催された。今年で18回を数える同アワードでは、国内の追加型株式投資信託約5,000本の中から、優れた運用実績を残した40ファンドが受賞の栄誉に輝いた。混迷する市場のなか、国際株式型 部門で見事に最優秀賞を受賞した、アムンディ・ジャパンのキーマンに受賞コメントと今後の展望を聞いた。ファースト・イーグルが狙うのは、希少価値という武器を持った優良企業日本ではあまり馴染みのない名前だが、フランスではNo.1の実績を持つアムンディ。その日本法人アムンディ・ジャパンが2009年に初めて日本に持ち込んだのが、世界に名を轟かせるファースト・イーグル社の「日興レジェンド・イーグル・ファンド」だ。
「受賞の知らせを聞いたとき、予想していたわけではありませんが、獲るべくして獲ったという感はありました」
そう語るのは、アムンディ・ジャパンの運用戦略部長 茂知己。受賞の喜びは、このファンドについてもっと幅広い人々に知ってもらうきっかけになるという面が大きいという。
「世界市場では注目度の高いファースト・イーグル社ですが、日本ではまだまだ知名度不足。しかしその投資哲学はまさに長期投資の王道そのものと言っても過言ではありません」
昨年6月には当ファンドの運用者であるマシュー・マクレナン氏が来日した。彼は自社の投資戦略の本質を“家を買うのと同じだ”と喩えたという。「買って3ヶ月で家を売る人はいないと思うんです。やはり最低でも5〜10年、通常は20〜30年の期間で持ち続けることを考えて購入しますよね。マクレナン氏が言っているのは、20〜30年持っていて間違いのない企業にこそ投資すべきという信念です」
そしてもうひとつ、長期投資に必要なのは、“大きく損をしない運用”。38年の歴史のなか、大きくマイナスに転じたのはたったの1回。100年に一度の金融危機といわれたリーマンショック時のみある。しかも世界の株式が40%以上大きく下落したなか、彼らは下落をその半分の20%程度に抑えた、というのはもはや伝説である。
「今まで市場は何度も不透明な時代をくぐり抜けてきました。しかし質の高い企業に投資する、そして、買ってはいけないものには手を出さないという戦略で勝ち抜いてきたのです」
質の高い企業、言うのは簡単だが、それを見抜くのは難しいのではないか。
「徹底したボトムアップの調査分析で企業の本源的価値を見極めるのですが、その基準は希少価値があるかということに尽きます。かけがえのない有形及び無形の資産を持っている競争力の高い企業ですね。丸の内界隈の不動産の供給は有限です。なのでそれらを多数所有する大手不動産会社の競争力は絶大。そしてほとんどの会社ではスタンダードなパソコンソフトを使わずに業務はできません。この囲い込みは無形資産ですね。
さらに希少という面では森林資源。世界最大規模の森林業者に投資しているのは象徴的な事例です。近年は日本でもペーパーレスが叫ばれていますが、世界で見れば紙の需要は増え続けているが森林は破壊が進み、紙の材料として希少な限りある資産なのです」
そして損をしない運用という面では、プラスを上げるよりマイナスを減らすということを徹底しているという。
「それではリターンが出にくいのでは、という疑問は当然あると思います。しかし、一度でも取り返しのつかないマイナスを被れば、それを補いプラスに転じることは簡単ではありません。しかし、マイナスが小さければ、プラスに転じるスピードは格段に早いのです」
永きにわたり、混迷の世界市場を勝ち抜いてきた投資哲学はまさに質実剛健の王道の輝きを放つ。
「ですからこの受賞をきっかけに一人でも多くの方に、こんなファンドがあるんだと、知ってもらえたらうれしいですね」
茂 知己(Tomomi Shige)◎アムンディ・ジャパン 運用本部 運用戦略部長
国際株式型 部門 最優秀ファンド賞
日興レジェンド・イーグル・ファンド(毎月決算コース)
http://www.morningstar.co.jp/event/foy2016/cat-y03/fund-y08.html設定・運用:アムンディ・ジャパン
▷他、受賞企業インタビューはこちら
http://forbesjapan.com/articles/detail/15312
▷モーニングスター ファンドオブザイヤー2016 特集ページはこちら
http://forbesjapan.com/feat/morningstar2016/