世界中から5,000件以上のアイデアが寄せられた中で、トップに輝いたのは家庭医で空軍医のThatcher Cardonという人物。1万5,000ドルの賞金を手にした彼は「M-PATS」と呼ばれるアイデアでこの栄冠に輝いた。
彼が考案した仕組みは外科の低侵襲手術(傷口をできるだけ少なくする手術法)にヒントを得たもので、宇宙服の内部にごく小さな気密室を作り、そこに挿入したカテーテル、もしくは特殊な便器(内部で膨張可能なもの)を通じて排泄物を取り出すという。
「この技術は動脈に挿入したカテーテルで心臓弁を交換する手術でも使われている。そのテクノロジーでうんこを取り出すんだ」と彼は米公共ラジオ局NPRのインタビューで述べた。
2位に入り1万ドルを獲得したのは「宇宙うんこ医師の会(SPUDs)」と名乗る3人組で、彼らは「エアプッシュ尿ガードル」と呼ばれるデバイスを考案した。
これは空気の流れで尿を下着の後ろに送り出し、スーツ内部の大型チューブを通じ、デバイスの底部に溜め込むもの。動作に必要な空気は宇宙服内部の体の動きからつくり出すという。
3位で賞金5,000ドルを獲得したのは、英国のプロダクトデザイナーのHugo Shelley。排泄物を圧縮可能なSWIMsuitと呼ばれる特殊な下着を発案し、外部からカテーテルを用いて排泄物を取り出せる仕様になっている。
今回の懸賞には他にも多数の有用なアイデアが寄せられ、NASAは今後の宇宙での活動にそれらを活かしていく予定だという。
NASAで宇宙服エンジニアを務めるKirstyn Johnsonは「宇宙での緊急事態に備えるアイデアの考案は、飛行士らの健康を守るためにも非常に重要だ。宇宙での排泄物処理システムの開発を今後も進めていく」と述べた。