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世界37カ国、700万人が愛読する経済誌の日本版

コロンビア大学・日本経済経営研究所所長 ヒュー・パトリック(右)、コロンビア大学教授 伊藤隆敏(左)

アメリカにおける日本経済研究の第一人者であり、コロンビア大学・日本経済経営研究所の所長を務めるヒュー・パトリックと、日本経済論と金融論でわが国を代表する経済学者として知られる伊藤隆敏。

二人が着目したのは、時代の変化に対応することを恐れ、「抜け道」を探す日本の姿だ。その先に何が待ち受けているか。二人に日本のとるべき道を聞いた。


パトリック:2016年世界に影響を及ぼした大きな出来事にブレグジットとアメリカ大統領選があります。ブレグジットは大方の予想に反して「離脱派」が勝利して世界に驚きを与えましたし、トランプの躍進も同様です。

この二つの現象には共通のルーツが存在します。それは、怒りです。普通の人たちが怒っている。ヒラリー・クリントンと民主党の指名争いを繰り広げたバーニー・サンダースの支持者にも通じています。これらは、エスタブリッシュメントへの怒りと「変化への渇望」が露わになった出来事ですが、そのような「怒り」が日本には波及しないのでしょうか?

伊藤:日本人は怒りませんからね。日本にも格差や非正規雇用の問題は存在しますが、アメリカなどと比べ社会は安定している。大学の学費などもアメリカと比べるとずっと安い。だから彼らのように怒る必要もないのでしょう。変化を求める雰囲気も感じられません。日本人が現状に満足していることは、国政選挙の結果にも表れています。

パトリック:確かにそうかもしれませんが、私には、日本人の若者にハングリー精神が欠けることが気になります。同じ若者でも女性の方がハングリーですね。先日会った旧知の日本人ビジネスマンは、「日本の男性に覇気がないのは母親が息子を甘やかし過ぎるからだ」と言っていました(笑)。だから女性がハングリーに働くしかないんだ、と。

伊藤:なるほど(笑)。でも、日本の女性も大変です。働く女性たちの環境を比較すると、アメリカなどの方がずっと恵まれている。アメリカであれば、アッパーミドル以上の女性たちはベビーシッターやメイドを簡単に雇えます。中米諸国から家事労働者を多く受け入れていますからね。日本でも16年、一部特区で外国人家事労働者の受け入れが解禁されましたが、こうした取り組みをさらに広げていくべきです。

パトリック:アメリカでは、外国人労働者が移民としてうまく経済に吸収されています。しかし、日本人の大多数は移民の受け入れを望んでいない。

伊藤:日本も外国人労働者の受け入れは避けては通れません。事実、すでに「技能実習生」や「留学生」として多くの労働者が来日している。需要があれば、供給するための道は生まれます。

パトリック:実習生を受け入れているといっても、数は20万人ほどでしょう。その程度では大して効果はありませんよ。

その一方で、外国人留学生が急増しています。出稼ぎ目的の留学生が三流大学に入学し、アルバイトばかりやっている。「留学生」と偽って労働者を受け入れるというのは、実に日本的な解決方法だと感じます。

伊藤:まさに私が指摘した状況です。需要があれば供給は生まれる。

パトリック:確かに、日本はアメリカよりも実利的にやっているのかもしれません。

伊藤:「実利的」というより、留学生は“第2の実習生”という位置づけなのです。

パトリック:制度化された保守主義というわけですか。

伊藤:「抜け道」ですよ。

パトリック:日本人は「抜け道」が好きですからね。もちろん、「抜け道」を探す傾向は日本に限らずどこの国でもありますが。

伊藤:アメリカでも、カリフォルニアの農業は不法滞在移民が支えている。

パトリック:その通りです。ただし、50〜60年という長期的な視点に立てば、日本も変わる必要がある。それを拒んでいれば、先進国としての快適な暮らしを維持することだって難しくなるでしょう。

伊藤:その点は私も心配しています。このままでは日本は悲惨な状況が待っている。快適な暮らしを維持するためには、変化しなくてはなりません。しかし、今の若者には危機感がない。

編集=出井康博 イラストレーション=山崎正夫

 

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