英政府、グーグルに「海賊版追放」要請 スポティファイには吉報

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英国政府からの要請を受け、グーグルとマイクロソフトはインターネットの検索結果から、違法な海賊版ファイルを追放することに合意した。今後の検索アルゴリズムの変更で「The Pirate Bay」や「KickAss Torrents」などのサイトに掲載されたトレントファイルの発見が難しくなる。

一方で、合法的なダウンロードサイトは検索結果の上位に表示されることになる。さらに、検索エンジンのオートコンプリート機能で、違法なサイト名が出ないようにする仕様変更も行われる。

「検索エンジンは今や人々の暮らしに必須のツールになった。検索エンジンとクリエイティブ業界は対立する関係であってはならない。音楽や映画、電子書籍など様々なコンテンツを求め人々は検索を行うが、検索結果に海賊版ファイルを提供するサイトやサービスを掲載すべきではない」と英国保守党のジョー・ジョンソンは述べている。

グーグルとマイクロソフトは迅速に作業にあたり、今年の中頃までには仕様変更が行われる。今回の動きは英国の知的財産庁が主導しており、調査によるとイギリスのネットユーザーの約15%が海賊版コンテンツにアクセスした経験を持ち、そのほとんどは音楽だが、映画やTV等の動画も多いという。

知的財産庁のRhian Eveleighは、ネットユーザーが海賊版にアクセスする原因の一つとして「何が合法で何が非合法なのかが明確ではないこと」を挙げている。

「適正な価格の合法的コンテンツに触れる機会を増やすことで、物事を前に進めて行けます。近年ではスポティファイやネットフリックスのようなストリーミングサービスが、iTunesのようなダウンロード型のサービスから顧客を奪う流れも起きています」とEveleighは述べた。

クリエイティブ業界を保護する狙い

今回の措置は企業の自発性に委ねられるという。しかし、知的財産庁は今後数ヶ月でこの措置の効果をモニタリングする計画も練っており、罰金制度が導入される可能性もある。

英国はこれまで海賊版に対し、かなり寛大なスタンスをとっていたが、ネット接続業者らは先月から、著作権侵害を行っているサイトに対し「警告を無視し続けると、どんな措置がとられるか分からないぞ」とアラートを発し始めた。また、サイトへのアクセスをブロックする接続業者や、海賊版サイト上の広告表示量を減らす施策も講じられている。

今回の英国政府の動きの背景には、クリエイティブ業界の権利を守ることで、ブレグジット以降の英国に広がった不透明感を和らげる狙いもある。

「イギリス政府は世界有数のデジタル大国として、消費者らが容易に合法的コンテンツにたどり着ける環境を整備する責任がある」とデジタル文化担当大臣のMatt Hancockは述べた。

「英国は今後もグローバル化を進め、イノベーションあふれる国家としてビジネスを行っていく。今回の措置はイギリスの創造性やデジタルエコノミーの推進を、より確実なものにするものだ」と彼は続けた。

編集=上田裕資

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