大ヒットしたマツダ「CX-5」が、ユーザー体験を高め正常進化

4545×1840×1690mmのスリーサイズは、初代と比べて、5mm短く、15mm低められた。パワートレインは、北米に初導入される「SKYACTIV-D2.2」のクリーンディーゼルに加えて、「SKYACTIV-G 2.0」と「SKYACTIV-G2.5」の2機種のガソリンとなる。

マツダほど、短期間でブランド・イメージが向上した自動車メーカーは珍しい。

初代「CX-5」が登場した2012年には1000億円以上の損失を計上し、4期連続の赤字で、経営の危機とまでささやかれた。実際、リーマンショックの余波で、ゼネラル・モーターズほどの巨大自動車メーカーがチャプター11を適応されたのだから、当時、グローバル販売台数が120万台程度のマツダが厳しい状況にあっても当然だ。

スカイアクティブ・テクノロジーなる技術群を掲げて登場した初代「CX-5」は、当時はまだクリーン・ディーゼルの評判も定着していなかった日本で、ディーゼルの販売比率が約8割というクリーンヒットを飛ばした。そして今や、マツダの販売台数のうち、1/4を占める大黒柱へと成長した。
 
おおよそ5年の年月を経て、「CX-5」が2代目へと進化した。発表の場に選ばれたのは、SUVの本場である米ロサンゼルスだ。デザイン部門を率いる前田育男氏が登壇し、次世代のマツダ・デザインを占う“CAR AS ART”なる言葉を伝えた。魂動デザインの基本は受け継ぎつつ、アートの域にまでデザインのクオリティを高める意志が伝わってくる。
 
ベールを脱いだ新型「CX-5」は、初代がSUVらしさを重視したデザインだったのに対し、新型ではシャープなフロントランプをはじめ、“マツダらしさ”を前面に押し出す。

中身における最大の注目は、「G-ベクタリングコントロール(GVC)」の採用だ。ドライバーの操舵に対してエンジンの駆動トルクを変化させて、前後・左右のGを統合制御する。山道を走るような極端なG変化ではなく、むしろ町中を走るような小さなG変化でも、滑らかな動きになるように制御している点がユニークだ。

初代は、日本のクリーン・ディーゼル市場に新しい風を吹き込み、名実ともにマツダの起死回生の一打となり、マツダの屋台骨を支えるまでに成長した。そして2代目では、マツダらしいデザインを際立たせると同時に、日常使いでのユーザー体験を高め“クルマに乗る全ての人に走る喜びを提供したい”という想いが込められている。

文=川端由美、構成=青山 鼓

この記事は 「Forbes JAPAN No.31 2017年2月号(2016/12/24発売)」に掲載されています。 定期購読はこちら >>

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