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2017.02.25 10:00

伝統継承の新たな1ページが始まる

ルノー・フィリュー・ドゥ・ジロンド 8代目 ヘネシー マスターブレンダー就任予定(太田隆生 = 写真)

至宝のコニャック、ヘネシー。その250年に及ぶ歴史に、新たな名が刻まれることとなった。1800年代初頭よりメゾン ヘネシーのマスターブレンダーを担ってきたフィリュー家。その8代目になるルノー・フィリュー・ドゥ・ジロンド氏が次期マスターブレンダーに就任することが発表されたのだ。

「ヘネシーという途切れることなく受け継がれるレガシーを、いよいよ自分が受け継ぐのだという光栄に身震いする思いでした。プレッシャーもありますが、この日のために現マスターブレンダーの叔父、ヤン・フィリューの下でずっと研鑽を積んできたので、不安はありません。実際、日々の仕事は別段変わりませんでした。8代目継承を記念して造られる特別なコニャック『ヘネシー・8』の準備を除いてはね」。

「ヘネシー・8」とは、ヤン・フィリュー氏が7種類のオー・ド・ヴィー(原種)を、ルノー・フィリュー・ドゥ・ジロンド氏が最後の1種類のオー・ド・ヴィーを選んで創った、今回のマスターブレンダー継承を祝う特別なコニャックである。生産は250本のみ。1本35,000ユーロという値付けがなされた。

新旧のマスターブレンダー2人の協働により完成した、この「完璧なコニャック」を味わう幸運に恵まれる人はわずか。「我々の継承するヘネシーという文化の至宝であり、究極のエレガンスである」と自ら賞賛する逸品だからこそ、もし入手できたとしたら、飾るだけでなく必ず味わってほしいと氏は言う。

「そこには飲み物としてのコニャックを超えた250年の時と人智、そして情熱が感じられるはずです」。

くだんの「ヘネシー・8」は手に入らなかったとしても、忙しく生きる現代のビジネスパーソンにはことさらコニャックをゆっくりと味わう時間が必要だと、氏は語る。

「完璧なグラスと、一緒に愉しむ友人さえいれば、いつでも贅沢な時間を過ごすことができます。フォーブス読者でしたら、例えばフグの刺身や軽くあぶったホタテに『ヘネシー パラディー アンペリアル』をペアリングしてみていただきたい。きっと、至福のひと時をご堪能いただけるはずです」。


ルノー・フィリュー・ドゥ・ジロンド◎7代目マスターブレンダーであるヤン・フィリュー氏の後継者。14年間にわたってテイスティングコミッティー、およびヘネシーと提携するブドウ栽培農家とのリレーション管理という2つの分野に携わってきた経歴を持つ。

文=稲生 遼 編集=大野重和

この記事は 「Forbes JAPAN No.31 2017年2月号(2016/12/24発売)」に掲載されています。 定期購読はこちら >>

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