だが、仕事を終えて帰宅する時間になると、スタバのメニューが頭に浮かぶ人はあまりいない。そこで同社は何年か前から、夜間の集客を図ることに力を入れてきた。だが、結果はそれほど思わしくなかった。2010年から始めた「イブニングス」はメニューにワインやビール、小皿料理をそろえた夜間向けのサービスだったが、今年1月に中止を発表している。
そこで、同社が新たにメニューに加えたのが、夜間でも客足の伸びにつながりそうなアルコール以外のメニュー、アイスクリームだ。米国内の一部地域で2月13日から、エスプレッソとアイスクリームでつくるイタリアのデザート「アフォガート」を発売した。アフォガートはデザートとしては比較的カロリーが低く、その点も消費者には歓迎されるだろう。
新メニューを提供するのは、首都ワシントンとマサチューセッツ州の州都ボストン、カリフォルニア州ロサンゼルスにある高級ラインの「スターバックス リザーブ ロースタリー」10店舗。価格はアイスクリームにエスプレッソをかける「クラシック」が6ドル(約690円)、アイスコーヒーとアイスクリームを組み合わせた「コールドブリュー・モルト」が8.5ドルとなっている。
その他、カリフォルニア州オレンジ郡にある「スターバックス」100店舗でも、価格設定を低めに抑えてこれらのメニューを提供する。シアトルにある「ロースタリー」の一店舗では、すでに昨年から試験的にアフォガートを販売している。冬に入っても人気は高く、売れ行きは好調だという。
増収のカギは夜間の集客
市場調査の結果によると、「ロースタリー」を除く「スターバックス」の2015年の客単価は、平均7.67ドルだった。1か月の来店回数は平均6回で、顧客のうち約20%は毎月、16回来店していた。平日はほぼ毎日、店を訪れていたということになる。
スターバックスはこうした顧客のより多くに、夜間も同社の店舗を利用してもらいたいと考えている。アルコールの提供を発案したのも、それが主な理由だった。夜間の営業中、コーヒー以外にも目当てにできるメニューがあることを知ってもらい、例えば映画鑑賞や講演会などへの参加の後に来店する客が1人増えれば、売上高が10ドル近く増えることになるというわけだ。