ティファニー、ウォッチカテゴリーの成長を支える哲学

ティファニー スイス ウォッチ カンパニー代表 ニコラ・アンドレアッタ (photograph by Kenta Aminaka)

ティファニーのウォッチコレクション「CT60」が人気を博している。3年前の2013年にティファニーの時計開発・製造を担うティファニー スイス ウォッチ カンパニー代表に就任したニコラ・アンドレアッタの来日を機に、その成長を支える哲学を聞いた。

「ティファニー スイス ウォッチ カンパニーを設立するにあたっては、さまざまなことを早急に進める必要がありました。新たな時計を開発するための時計職人の確保をはじめとする適切な人材の確保。そしてティファニーのブティックにおける、ジュエリーとは違うアプローチが必要とされる時計のためのスペースの確保とセールスへの教育など、360度からアプローチしました」

現職に就く以前は、時計業界において20年以上のキャリアを持つアンドレアッタ。最も重要だったのはウォッチカテゴリーとティファニーというブランドをしっかりと繋げることだった。そのため、彼は連日ティファニーのアーカイブを訪れては1837年からのアーカイブを徹底的に見て、学んだという。

「一生かかっても見尽くすことのできないアーカイブで過ごす時間は夢のような時間でした。そこで理解することができたのは、1847年から時計を作り続けているウォッチメーカーとしてのストーリーと豊かなヘリテイジをしっかりとしたメッセージで伝えていくことの重要性でした」

そして誕生した「CT60」は1945年に第32代アメリカ合衆国大統領のフランクリン・ルーズベルトの誕生日に贈られたモデルをベースとし、横向きの「イースト ウエスト」といったモデルは1940年代に販売されていた「パースウォッチ」がその着想の源。古きよきアメリカの伝統とティファニーが君臨するジュエラーとしての洗練が融合し、現代のカスタマーに愛される時計を生み出しているのだ。

「CT60の新作“デュアル タイム”ではプッシュボタンにより時刻調整がより容易になりました。今後も新たな時計を着実に作り続けていきます」


ニコラ・アンドレアッタ◎1997年ミラノのカトリック大学を卒業。欧州、アジアの時計ブランドにて経験を積み、2003年に自身の企業を設立しラグジュアリーウォッチの製造や配給を行い、2013年から現職。

文=青山鼓

この記事は 「Forbes JAPAN No.31 2017年2月号(2016/12/24発売)」に掲載されています。 定期購読はこちら >>

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