フェイスブックでシェアされた動画や、フィードに流れてきた動画、ライブストリームで流れる動画がTV画面で視聴可能になる。スマートフォンに保存した動画の再生にも対応する。
米国のTV広告市場は700億ドル規模に及び、今回のアプリでフェイスブックは同社の動画広告事業をさらに強固にする。また、この動きはフェイスブックが進めるオリジナル番組制作や、他社からの動画コンテンツの権利取得の流れを加速させる。
マーク・ザッカーバーグCEOは「動画ファースト」戦略を掲げ、ユーザーと広告主の双方から高まる、動画需要に応えようとしている。電話会見でザッカーバーグは次のように述べた。
「動画はモバイルと同様なメガトレンドだ。傘下のアプリをいち早く動画に対応させ、人々が手軽に動画を撮影し、シェアできる環境を構築していく」
広告売上は今年、3.9兆円以上に
フェイスブックは昨年、ライブ動画機能を導入し、傘下のインスタグラムにもスナップチャットを模倣したストーリー機能を取り入れた。フェイスブックの本家アプリにも写真や動画用のフィルターを追加し、アップルTVやグーグルのChromecast経由で、TV画面で動画が楽しめる機能も昨年から導入していた。
同社のパートナーシップ部門を統括するDan Roseは発表の場で「今や多くの人々が、モバイルで見た動画を後からTVで観たいと思っている。我々は動画を時間や場所を問わず楽しめるものにしていきたい。PCの画面やモバイル端末、そしてTV画面での再生に対応させる」と述べた。
Roseはさらに「我々はモバイルファースト戦略を維持しつつ、TV対応を進める」と付け加えた。
現状でモバイル広告はフェイスブックの広告事業の約84%を占めている。eMarketerのデータによると、フェイスブックの広告売上は今年337億ドル(約3.9兆円)に達する見込みで、グーグルに次ぐ規模になっている。
大企業の広告出稿は現在でも、TVが中心になっている。フェイスブックはこれまで競合のグーグル傘下のユーチューブが採用しているプリロール広告(動画の前に広告が挿入される)を避けてきたが、先月からミッドロール型(動画の中盤に広告を挿入する)の広告配信のテストを始動している。