「反ユダヤ」動画の人気ユーチューバー、グーグルも一部契約打ち切り

Photo by Vincent Sandoval / gettyimages

世界で最も稼ぐユーチューバーのピューディパイ(PewDiePie)が、反ユダヤ主義的な動画の投稿をめぐり、ディズニーとの契約打ち切りに続き、有料サービス「ユーチューブ・レッド」で配信予定だった新動画シリーズも打ち切られたことが分かった。

グーグル傘下の動画投稿サイトであるユーチューブの広報担当者はフォーブスに対し、ピューディパイの動画シリーズ「Scare PewDiePie Season 2」の公開中止を決定したと説明。さらに、ブランド広告向けに人気動画を集めた「グーグル・プリファード」からのピューディパイのチャンネル取り下げも決めたと語った。

ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)によると、ピューディパイは9本の動画で反ユダヤ主義的なコメントをしたり、ナチス・ドイツのシンボルを使用したりした。

動画の中には、ピューディパイに雇われた男性らが「全てのユダヤ人に死を」と書かれたプラカードを掲げるものや、キリストに扮した男が「ヒトラーは悪いことなどしていない」と語るものが含まれている。(前者の動画についてピューディパイは後に、行き過ぎたジョークだったと述べている)

また、鉤十字やヒトラーの写真を映した動画も複数あり、ピューディパイはその中で「アメリカを再び偉大に」と書かれた帽子をかぶっていた。また、1月14日投稿の動画でナチ党の党歌を流した他、2月5日の動画では「ジーク・ハイル(勝利万歳)」と叫ぶ音声を使っていた。

ピューディパイは問題の動画9本のうち3本をこれまでに削除。グーグルは既に問題動画での広告表示を停止している。ユーチューブは「人種、民族、宗教(…)に基づく個人や集団への暴力を助長または容認するようなコンテンツ」の投稿を禁じているが、動画の取り下げには踏み切っていない。

ピューディパイ(本名フェリックス・シェルベリ)のユーチューブチャンネルは現在、登録ユーザー数が5,300万人を超え、累計視聴回数は140億回以上とユーチューブ上の最高記録を達成している。彼の昨年の年収は、動画を通じた広告収入やユーチューブ・レッドへの参加、関連商品の売り上げや書籍の出版などで、1,500万ドル(約17億円)に達した。

ピューディパイは、ウォルト・ディズニーが買収した動画制作・配信会社メーカー・スタジオとパートナー契約を結んでいた。契約の詳細は明かされていないが、ディズニーはピューディパイのグッズ販売や動画制作、アプリの制作に関わり、売り上げの一部を得ていたとみられる。

メーカー・スタジオの広報担当者はフォーブスに対し「フェリックスは挑発的で無礼な言動で人気を得たが、今回の件では行き過ぎた行為があったことは明らかで、制作された動画は不適切なものだ。メーカー・スタジオは彼との関係を断つことを決めた」と述べている。

大手メディア会社の後ろ盾を失ったことにより、ピューディパイの今年の収入は減少する見込みだ。彼は最近のTumblrでの投稿で、「私は憎悪をあおる行為を支持したりはしていません」などと弁明した一方、謝罪には至っていない。

編集・翻訳=遠藤宗生

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