社名の「e.l.f.」は、「アイ(eyes)、リップ(lips)、フェイス(face)」の頭文字を表す。2004年に創業、昨年9月に上場を果たしたe.l.f.のタラン・アミン最高経営責任者(CFO)は、同社製品が衝撃的な価格であることを認めた上で、「当社の価格なら、誰でも試してみることができる」「買いやすさが試してみるきっかけになり、品質の高さがそのお客様をリピーターにする」と語る。
例えば、前出のリキッドアイライナーで比べてみると、ロレアルとMACの同様の製品はそれぞれ8ドル(約910円)と20ドル。エスティローダーに至っては、31ドルだ。
e.l.f.の売上高は2015年、前年比43%の増加を記録した。メイベリンは同9%、レブロンは同6%だった。さらに、e.l.f.の1平方フィート当たりの週間売上高は275ドルで、同様にメイベリンの198ドル、ロレアルの164ドルを上回っている。
ミレニアル世代と感覚を共有
e.l.f.はミレニアル世代の消費者と多くの点で同じ考えを持つ企業だ。高額な費用がかかるセレブを起用した広告活動は行わず、消費者が使うソーシャルメディアを活用している。また、同社の従業員は女性が80%、ミレニアル世代が71%を占める。顧客にはヒスパニック系、アフリカ系米国人も多い。
アミンCEOによれば、同社の製品は当初、米大手小売チェーンのターゲットとウォルマートで販売を開始した。だが、ターゲットは低価格のコスメ用品が化粧品カテゴリー全体の利益を減らすことを懸念。e.l.f.にはわずかなスペースしか割り当ててくれなかった。だが、ミレニアル世代を中心に高い人気を集めたことから、割り当てスペースを大幅に拡大してもらうことができたという。
同社の製品はその他、衣料品小売店オールドネイビーや化粧品販売サイトのアルタ・ビューティー(ULTA Beauty)などでも販売している。アミンCEOは、今後ブランド認知度が高まるにつれて売り上げも伸びると期待。年間5~15店舗のペースでの新設を目指している。
同社の製品は全て中国で生産している。そのため、米新政権が中国との貿易関係を困難にする何らかの対応に出た場合に備え、すでに緊急対応策を講じているという。