FCCは、レーガン政権下でスタートした低所得者層向けの電話料金補助制度で、現在はブロードバンド接続支援も行っている「Lifeline」プログラムについても見直す方針だ。非営利団体EveryoneOnのCEO、Chike Aguhによると「通信事業者9社がプロバイダー指定から外れたためにユーザーは料金を自己負担しなくてはならなくなり、プログラムの活動は停滞を余儀なくされている」という。
「SNAP(低所得者向けの食料費補助対策)に依存する低所得者層にとって、Lifelineプログラムによる月額9.25ドルの補助がなければ、ネット接続費を支払うことができない。今日では大学の願書や求職申込の90%はオンライン化されており、ネット接続は電力などと同じように経済活動に欠かせない公共リソースとなっている。Lifelineプログラムの対象者は全米で4,000万人に上り、これらの人々がネットに接続できなくなる状況は避けなければならない」とAguhは話す。
Aguhのもとには、顧客や教育者たちから問い合わせが殺到している。中には、生徒がネットに接続できなくなってしまったために教師が宿題を出せないケースもあるという。
FCCはひっそりと行動したつもりかもしれないが、エンガジェットやThe Verge、BBC、ニューヨーク・タイムズといったメディアは、これまでのFCCの政策をことごとく見直す動きについて懸念を表明している。また、ネット中立性の擁護者たちもFCCへの批判を強めている。こうした状況についてAguhは「FCCが反対意見に耳を傾けてくれることを期待する」と述べている。
学校や非営利組織のほかにも、老人の孤立を防ぐためにネット接続を支援する団体など、様々な組織が声をあげ始めている。FCCに彼らの声が届くことは間違いないが、FCCが聞き入れるかどうかは不明だ。