サンフランシスコの交通計画策定組織(MTC)との提携で、Wazeは同社の乗り合いサービスを、カリフォルニア大学や地元の病院向けに導入し、交通渋滞の改善や通勤客の利便性の向上を目指す。
Wazeの乗り合いサービスはウーバーやリフトのそれとは違い、住居や勤め先が近い人々をつなげ、格安な料金で乗り合い通勤を可能にしている。大学や病院の職員らは単独で自動車通勤することをやめ、Wazeのサービスの利用を推奨される。このプログラムは当初はベイエリアに住むグーグルの従業員向けに始まった。
「Wazeカープールの活用で、地元の人々は通勤の際に一人でクルマを運転することをやめて安く、速く職場に向かうことが可能になる」とMTCの担当者は述べた。
乗り合いサービスの利用にあたり、ドライバーはSNSのプロフィールや車両の詳細、メールアドレス等を登録。利用客側はアプリにクレジットカード情報を登録し、乗車の際には1マイルあたり54セント(約60円)の金額を支払う。
54セントという金額は米国財務省(IRS)が定めるIRSマイレージ精算額に応じて設定された。米国では従業員が自己車両で通勤する場合、経費として認められる金額の上限を54セントとしている。
運転者はまた、一日あたりに提供可能な乗り合いサービスを2回までに制限されており、「これはサービスの営利目的利用をさせないためだ」とWazeの担当者のJosh Friedは述べた。
Friedはさらに「公共交通機関と同程度の価格ながらドア・ツー・ドアの便利なサービスにしたい。現状では手数料は徴収していないが、今後はその方向で検討する」と述べた。
イスラエルのスタートアップ企業が開発したWazeは元々、交通情報をシェアするナビゲーションアプリとして始動し、渋滞や工事情報、ハイウェイパトロール等の情報を共有できるサービスとして人気を博した。現在、世界で7,500万人が利用しており、この分野では世界で最も利用されているアプリと言える。Wazeによるとベイエリアだけで90万人のユーザーがいるという。
アルファベット傘下ではグーグルマップが地図分野で巨大なリードを広げ、Waymoは自動運転技術を自動車メーカーに提供し、安全な自動運転を実現しようとしている。
Wazeは母国のイスラエルでも乗り合いサービスを提供しているが、そこでもわずかな金額しか徴収していない。「我々のゴールはウーバーやリフトと競合することではない」と担当者は述べる。
「我々は非営利目的でサービスを運営し、一般の人々の通勤の足となることを目指す。金儲けのためのドライバーの参入は防ぎたい。全米の各都市の交通渋滞を緩和することも念頭に置きつつ、このサービスを拡大していきたい」とFriedは述べた。