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2017.02.11

ファストフードの「包装紙」は食べなくても有害? 米研究報告

Valentina Proskurina / shutterstock.com

ファストフードについては、栄養面以外にも懸念すべきことがある。ハンバーガーの包装紙やフライドポテトの紙製の容器が、私たちの健康を害する可能性があるという。

パッケージそのものを食べることはないのだから、問題はないだろうと考えるかもしれないが、実はそうでもないようだ。

米学術誌「エンバイロメンタル・サイエンス・アンド・テクノロジー・アンド・レター」によると、ファストフード店の包装材には油をはじくコーティング剤が使われていることが多く、これにフッ素化合物が含まれているようだ。

米国疾病管理センター(CDC)によると、PFAS(パーフルオロアルキル化合物)と呼ばれる化合物が、胎児や子どもの発達に影響を及ぼし、ホルモンバランスの乱れやコレステロールの増加、がんのリスク増大を起こしたり、免疫システムへなどに影響したりするという。

しかも、包装材を食べなくても人体にPFASの影響が及ぶともいわれている。過去の複数の研究によって、これらの化合物がパッケージから食べ物に「染み込む」可能性があることが示されている。

今回の研究では、米NPO「サイレント・スプリング・インスティテュート」や米環境保護庁など複数の機関が調査に参加し、アメリカ各地のファストフード店から集めた400余りのサンプルからフッ素化合物の含有量を測定。結果、デザートとパンの包装紙の56%にフッ素化合物が含まれていることが判明した。サンドイッチとバーガー類の包装紙には38%、紙箱の20%にフッ素化合物が含まれていたという。

PFASが含まれるのはファストフードの包装だけではない。撥水性があり、汚れがつきにくい家庭用品の多くにはPFASが使われている。CDCが挙げている例は以下のとおり。

・油をはじく紙、電子レンジ用ポップコーンの袋、ピザの箱、アメの包み紙
・テフロン加工された鍋やフライパンなど、焦げつかない調理用品
・カーペットやクッション材などに使われている汚れをはじくコーティング剤
・ゴアテックスなど撥水性のある衣服
・掃除用品
・ケア製品(シャンプーやデンタルフロス)、化粧品(マニキュアやメイク用品)
・ペンキやニス、シーリング材

残念なことに、PFASは日用品のみならず、土や水などにも含まれている。人体への影響度合いは、PFASの量とそれにさらされていた期間によって異なるようだ。

では、食べ物に含まれるPFASを避けるにはどうしたらいいのだろうか?

お店の人に「容器なしで」とリクエストして食べ物を受け取る方法もあるが、熱い食べ物であればとても危険だ。コーティング剤を使っていない紙コップや紙袋に入れてもらうか、できればセラミック製の皿などに入れてもらうといい。

または、このような包装紙や容器を使っている飲食店を利用しないことだ。包装紙についた溶けたチーズを舐めるようなことも、やめた方がいいだろう。

実際のところ、こうした包装材にどの程度接触すると健康に害をもたらすのかは、明らかになっていない。フッ素化合物が食べ物に染み込む量も、食べ物の温度や種類、包装されてからどれだけ時間が経っているかによって異なる。ただ、接触量が多いほどリスクも大きいのは確かであり、一部の飲食店が使用する包装材が健康に悪影響を及ぼし得る、ということは覚えておいた方がいいだろう。

編集=森美歩

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