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2017.02.10 15:00

カスタムウェディングの草分け、CRAZYの「型破り」な企業カルチャー

CRAZY WEDDING最高執行責任者 遠藤理恵(写真=セドニック・ディラドリアン)

子連れ出勤。1か月の全社休業。世界一周社員旅行。「成果を導くのは、人間関係」と明言する遠藤は、型破りだが人に優しい企業カルチャーの体現者だ。

CRAZY創業メンバーの遠藤理恵が、ウェディング部門の最高執行責任者を任されたのは、なんと育休からの復帰のタイミングだった。「会社は実の子供と同じくらい大切」と語る彼女だが、当初は消化不良に悩んでいた。

ウェディング部門は、オーダーメイド挙式を提供するCRAZYの主幹事業だ。仕事は、プロデューサーとして現場を走り回っていたころとはまた別のハードさがあった。慣れない育児との両立に悩み、一時は今のポジションを退くことも考えた。

そんな遠藤を、家族や社員をはじめとしたメンバーが支えた。中でも一番寄りっているのが社内にいるベビーシッターだ。

遠藤とその女性は、創業1年目に全社員で世界1周をした際に、旅先のクロアチアで出会った。信頼できる彼女と再会したことで、子連れ出社という新しい選択肢が職場に生まれた。子どもを持つ社員も、子どもの送り迎えに振り回されることなく働くことができる。

CRAZYには、ベビーシッター制度のほかにも幸せな働き方を考慮したユニークな制度がある。何より驚かされるのはそのポリシーだ。業務時間の4割を、従業員の人間関係の構築のために使うという。時には1か月間会社を休業し、社員総出で研修旅行に出かけることもある。

そんなことをして経営が成り立つのか、と問うと、「それが大丈夫なんです」と、遠藤はあっけらかんと答える。

「メンテナンスなしに走りつづけたら、スピードが出なくなっちゃう。F1のピットインと同じ」

こうして普段から信頼関係を築くからこそ、誰かが救いの手を差し伸べてくれる。

遠藤は、新卒で入社した人材コンサルでは敏腕新人営業として賞を総ナメにしていた。その後、親友2人とCRAZYの前身、UNITED STYLEを立ち上げた。当時の月収は7万円。収入は文字通り、桁違いに落ちた。

しかし、志が同じ仲間とゼロから事業を作りあげる日々には、お金には代えられない喜びがあった。「とにかく夢中で、我を忘れて働いていた」。

儲かるわけがないと周囲から反対された事業も、今はカスタムウェディングの草分けだ。今後は、国外への事業展開や、ホテルなどの伝統的な挙式会場でのプランニングなどに挑んでいきたいと語る。仲間に支えられながら、さらなる飛躍を目指す彼女の「夢中」は、今も続いている。

<Questions>
Q 仕事で一番つらかった経験は?
自分の分身のような会社と子供を同じように大切にできなかった時。

Q 好きな言葉は?
「人事を尽くして天命を待つ」「誠実さに勝るスキルはない」

Q 仕事をしていてよかったと思う瞬間は?
最高の仲間と、一人では見られなかった景色が見えた時。

Q 今後3年間で挑戦したいことは?
海外ウェディング事業。海外の方の受け入れ和装挙式など。


遠藤理恵◎28歳の時、山川 咲、森山和彦とUNITED STYLE(現、株式会社CRAZY)を立ち上げる。現在、ウェディング部門のCRAZY WEDDING最高執行責任者。小学校から高校まではバスケットボールに明け暮れ、高校では東京都大会優勝・全国ベスト8の実績を残す。新卒で人材コンサルティング会社に入社。営業職として輝かしい成績を残す。その後、美容業界に転職し、企画・営業の分野で奮闘する中で、理想と現実の間で葛藤。再会した山川と創業に至る。

※フォーブス ジャパンは昨年12月19日、日本最大規模の女性アワード「JAPAN WOMEN AWARD 2016」を発表。“働きやすさ”ではなく“真の女性活躍”の促進・発信を目指す同アワードで、遠藤理恵氏は革新をもたらすリーダーとして「個人部門賞」を受賞した。

文=水口万里

この記事は 「Forbes JAPAN No.31 2017年2月号(2016/12/24発売)」に掲載されています。 定期購読はこちら >>

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