車のトランクを「宅配ボックス」にする試み 英国で始動

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英国の百貨店チェーン、ジョン・ルイスは、ジャガー・ランドローバー傘下のテクノロジースタートアップ「インモーション(InMotion)」と提携し、買い物客の車のトランクに荷物を配達する試みを開始した。

技術を提供する「toBoot」は、インモーションが支援するスタートアップ企業。社名は、車のトランクを意味する「car boot」に由来する。同社が開発したスマートボックスを車のトランク内に設置すると、荷物の配送先に車を指定できる。宅配業者には、車の位置情報やナンバープレート、トランクを開けるために必要な一回限りのコードが送られる。

ユーザーは配送状況をリアルタイムで追跡可能で、配達完了時には業者からトランクに荷物が入った画像と、トランクが閉められた画像が送られてくる。

車に宅配するというコンセプトは全く新しいものではない。アマゾンは、2015年にアウディとDHLと組んで同様の試みを行っており、ダイムラー、ボルボ、フォルクスワーゲンもパイロットプログラムを過去に運用している。しかし、英国でのテストは、今回が初めてのケースだ。

テストは2016年にスタートし、これまでジャガー・ランドローバーの社員を対象にジョン・ルイスから発送された荷物を届ける実験を行ってきた。今年後半には一般ドライバーを対象にしたテストも行う予定だ。

「新しいテクノロジーの導入で顧客により便利なサービスを提供できることは素晴らしいことです。車のトランクへの宅配サービスは、大きな可能性を秘めています」とジョン・ルイスでイノベーション・マネジャーを務めるJohn Varyは述べている。

toBootのCEO、Drummond Gilbertはテストを通じて多くのことを学んだという。「荷物が届く直前にドライバーが車を動かしてしまわないよう、頻繁に車の位置情報を確認する必要があることがわかった。また、配達先の車両を間違わないように、駐車場で同じ車種が多数ある状況でもGPSのテストを行った」とGilbertは話す。

将来的にはジャガー・ランドローバー以外の車でも宅配サービスを受けられるようになる予定だ。toBootのウェブサイトには、2002年以降に製造された車であればスマートボックスを使用することができ、宅配業者もDHLやDPD、Parcelforce、TNT、UKMail、UPS、Yodelから選べると記載されている。「我々の目標は、全ての人に我々のサービスを利用してもらうことだ」とGilbertは話す。

編集=上田裕資

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