スカイプのエンジニアリング部門長を務めたToivo Annusは、ドローン市場に向けて活発な投資を行っており「既存のクアッドコプター型ドローン以外の形態のドローンにこそ、未来がある」と述べる。
「ほとんどの人々はドローンと聞くと、クアッドコプター型のものを思い浮かべるが、利用ケースに応じてもっと多様なスタイルが存在すべきだ。飛行船のようなドローンや、ロケット型、固定翼を持つもの。サイズも旅客機ほどの大きさのものや、飛行高度も現状よりさらに高い高度に特化したものも想定できる」
危険が伴う高所作業もドローンの導入が期待される分野だ。携帯の中継アンテナや工場の煙突、石油掘削施設のメンテナンスや保安作業にドローンを適用しようと、多くのスタートアップがしのぎを削っている。
ドローンは20年前の「携帯電話」だ
「ドローンを取り巻く状況は20年前の携帯電話や、100年前の自動車に似ている」と元スカイプのAnnusは言う。「利用範囲は限られており、不満も多い。しかし実際に便利であり、大きな可能性を秘めている」
サンフランシスコの投資会社Knowledge Investmentsのマイケル・ノビコブは「西洋諸国は今後、ドローンの“頭脳”部分に相当する先端的なAIや計測機器分野で、市場をリードしていく」と語る。
「航空電子機器やナビゲーション機器、センサーやAI領域に強みを持つ、米国やドイツ、英国、イスラエル、スイスの企業らに大きなチャンスがある」と彼は述べ、「中国企業はまだまだ、欧米に追いつこうというモードにある。先日はDJIがスウェーデンの高級カメラメーカー、ハッセルブラッドを買収したばかりだ」と付け加えた。
今後数年をかけてドローンを取り巻くエコシステムは完成していくと見られ、そこには様々なステークホルダーが参加することになる。この分野で中国企業が覇権を握れるかどうかは、彼らがハードウェア分野の次にどの領域に踏み出すかにかかっている。