イスラエル工科大学は応用科学の大学院をニューヨークに設置すると同時に、中国の広東省にもキャンパスを置く。イスラエルと中国、米国というテックハブを結ぶ“テック・トライアングル”は、次世代のテクノロジー開発に強力な推進力を与えるだろう。
イスラエル工科大学はトップレベルのエンジニアと起業家らを集めており、現地のスタートアップシーンを主導してきた。一方で中国は、バーチャル・リアリティ(VR)から人工知能まで、革新的なテクノロジー分野で急速に存在感を高めている。
保有特許件数においても首位の米国の250万件に対し、中国は120万件で世界3位につけている。VC投資額においても中国は世界2位の500億ドル(約5兆6,600万円)で、トップに立つ米国の720億ドル(約8兆1,100億円)に迫っている。この分野においてイスラエルは4位につけている。
かつて欧米ブランドのコピーが得意で、世界の工場と位置付けられていた中国は、急速に発展しバイドゥ、アリババ、テンセントのようなIT企業が勃興。維港投資(ホライゾンズ・ベンチャーズ)などのVCは、イスラエルと米国の両国でテック企業への出資や買収を行い、R&Dセンターを作ってきた。また、中国系のインキュベーターやアクセラレータがイスラエル、シリコンバレーで活動し、VCには中国資本が流れ込んでいる。
イスラエル企業は今後の拡大のためにより大きなマーケットを必要としている。中国企業は最先端テクノロジーへの接近を求めている。そしてシリコンバレーは昔から、VCやテクノロジーのノウハウが蓄積されている。
ニューヨークと広東省にキャンパスを持つイスラエル工科大学のようなプレイヤーが、今後のテクノロジー分野で大きな役割を果たすことになりそうだ。