シェアリングエコノミーに関する画期的書籍、ブルームバーグ編集者が執筆

ブライアン・チェスキーとトラビス・カラニック (photo by Charles Eshelman / gettyimages)

ウーバーやエアビーアンドビーの勃興により、便利で安く快適な旅を満喫できるようになった一方、職を失ったドライバーやホテルの従業員もいる。シェアリングエコノミーは人の暮らしをどう変えようとしているのだろうか。その疑問を解き明かす書籍が発売された。

その書籍とはブルームバーグの編集者のブラッド・ストーンが執筆した「The Upstarts」だ。372ページに及ぶこの書籍でストーンは、シェアリングエコノミーとその企業の創業者らに関する驚くべき事実や、野望にふれている。ウーバーやエアビーアンドビーが急成長を遂げた原動力を明らかにしつつ、成長を急ぐことの危うさも指摘している。

ストーンは2013年に「ジェフ・ベゾス 果てなき野望」を出版しており、ベゾスを直接知る人々からの証言をもとに巧みにベゾスの人生に迫った。

今回の著書では、エアビーアンドビーのブライアン・チェスキーCEOや、ウーバーのトラビス・カラニックCEOらに複数回のインタビューを行っている。その中でも興味深かったのが、カラニックとチェスキーがディナー・ミーティングを行った際のエピソードだ。この食事会で2人はビジネスの運営を改善するために意見交換を行い、「ブライアン(チェスキー)は“もっと厳しくやらなければならない!”と主張し、トラビス(カラニック)は“もっと思いやりを持たなくてはならない!”と述べた」という。

ストーンはウーバーの創業当時の様子に迫り、共同創業者のギャレット・キャンプの重要性についても書いている。また、エアビーアンドビーがいかに各国の規制に対処してきたかという話も興味深い。ストーンの視点は時に脇道にそれて、エアビーアンドビーの全体像を面白おかしく刺激的に表現している。

終盤でストーンは、「カラニックとチェスキーは、現代人の生活を改善するという“気前のいい約束”をしたが、いまだにその約束を果たせていない」と指摘する。2009年に創業したウーバーと2008年に創業したエアビーアンドビーは、今では多くの人々の暮らしに溶け込んだ。その成功の裏側に迫る、必読の一冊と言える。

編集=上田裕資

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