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2017.02.04

入国禁止が招く「貿易戦争」、米経済への影響は?

photo by Stephen Lam / gettyimages


懲罰的な意味合いを持つ入国禁止措置はどのような形であれ、米国での起業と成功を目指していた人たちに大きな影響を与える。移民に対する差別的な態度自体が、非米国的だ。

歓迎されていない、あるいは空港で必ず拘束されて取り調べを受けると分かれば、前途有望な研究者や学者、エンジニア、その他の専門家たちは、米国への移住を目指すことをやめてしまうだろう。

そうした人たちは、最も優秀な頭脳の受け入れに常に積極的なカナダや欧州、さらには中国にも行くことができる。知的資本の流入を制限することは、別の形の貿易戦争だ。イノベーションは、国境よりもアイデアが尊重される自由な環境の中で生まれるのだ。

公約の「減税」にも影響

トランプは選挙運動中の公約を守り、環太平洋経済連携協定(TPP)をはじめとする貿易協定からの離脱を表明している。だが、TPPは中国に対する米国企業の競争上の優位性の確保につながっていた可能性がある。TPPが今後、どのようになっていくのかは不透明だ。

いずれにしても、貿易政策に関する一連の変更に市場がどのように反応するのか、注視していかなければならない。企業や投資家などの富裕層はトランプが公約に掲げる減税の実現を心待ちにしているが、同時に貿易と人材確保を阻害する政策が実行されれば、彼らの楽観もあっという間に消え失せることだろう。

世界中のどの金融市場が貿易摩擦のにおいをかぎ付けても、株価は瞬く間に急落する。英国で昨年行われた国民投票でブレグジット(Brexit、欧州連合からの離脱)が決定した時の株価の急落を覚えているだろうか。米国の経済規模は英国のおよそ6倍だ。そして米経済は、どのような貿易制限にも良い反応を示さないだろう。

編集 = 木内涼子

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