そのスタートアップは、中国の深圳に本拠を置くuFactory社だ。同社は「uArm」という卓上で使えるロボットアームを製造している。「我々は、ロボットアームによって人々の生活をもっと快適にしたいと考えている」と3人の創業メンバーの一人であるTony Leは話す。
uFactory はキックスターターのキャンペーンで目標額の20倍となる25万ドルを集めることに成功し、2014年に初号機をリリースした。その後、ユーザーの一人がuArmに朝食を作らせようとしてテーブルを散らかしてしまう動画を公開し、大きな話題となった。
Leによると、初号機は創業メンバーが趣味で開発し、性能もそれほど高くなかったため、キックスターターでの成功は予想外の出来事だったという。その後、Leらは製品の改良を重ねて新モデルを開発した。現在は製品化を目指してIndiegogoでキャンペーンを実施している。彼らが新たに開発したのは「uArm Swift」と「uArm Swift Pro」の2モデルで、キャンペーン価格はSwiftが209ドル、Proが299ドルと競合製品よりもかなり安く設定されており幅広い層が購入してくれることを期待している。
しかし、ロボットアームはどのような用途に使えるのだろうか。現段階では電話を取ったり、コップに水を注ぐ程度のことしかできないが、Leは、映画「アイアンマン」に登場する人工知能のジャービスがロボットアームを使ってパワードスーツを製造したように、将来的にはあらゆる作業をこなせるようにしたいと考えている。
プログラム可能で作業を自動化できる
uArmのソフトウェアはオープンソースなので、プログラマーであれば自分でコードを書いて複雑なタスクの自動化も可能だ。Swift Proの位置精度は0.2mmで、3Dプリンティングやレーザー刻印といったデリケートな作業も難なくこなせる。コードが書けない人でも、Blocklyを使ってビジュアルプログラミングをしたり、アームを手で動かして動作を覚えさせることができる。筆者は、uFactoryの本社に行って試してみたが、専用アプリを使ってuArmを簡単に操作することができた。
本体の素材は、旧モデルがプラスチック製だったのに対し、新モデルはメタル製となっている。他にも、ベース部分がよりコンパクト化されてコードの露出が減るなど、様々な改良がなされている。