デザイン視点で「社会問題解決につながる住宅」を/積水ハウス 穐本敬子

積水ハウス 技術部部長 穐本敬子 (写真=セドニック・ディラドリアン)


現在、穐本は、国際ユニヴァーサルデザイン協議会やキッズデザイン協議会などを通じ、社会的課題の解決に取り組んでいる。今、特に重要性を感じているのは、子どもの安全や創造性を育む子育て環境を支えるキッズデザインだ。

例えば、バルコニーからの子どもの落下事故は、バルコニーにガーデンファニチャーや植栽を置く家庭が増え、子どもがよじのぼって事故に繋がることがあるという。住宅メーカーがバルコニーの設計に配慮するだけでなく、家具メーカーなど、さまざまな業種での認識と対応が必要なのだ。使い方によって危険もあることを親たちに知ってもらう取り組みも重要だ。穐本は力強く語る。

協議会での活動が始まって10年。キッズデザインの認知は進み、子育て環境のあり方について考え、行動する次の段階に進もうとしている。高齢者と子育て世代をマンションの共有スペースで繋ぐタウン計画が現れている。共有スペースで遊ぶ子どもたちを高齢者が見守れば、皆が楽しく暮らせる。「そんな環境をデザインしたい」と穐本は語った。

<Questions>
Q 仕事で一番つらかった経験は?
特にありません。強いて言えば、こういう取材かな?

Q 好きな言葉は?
「とにかく続けなさい」。続けることで自分の目標が見えました。

Q 仕事をしていてよかったと思う瞬間は?
考えていたことが、商品などの形になって見えてきた時。

Q 今後3年間で挑戦したいことは?
巨匠アルヴァ・アアルトの名作建築を見に行くこと。


穐本敬子◎1984年、積水ハウス入社。新商品の開発・設計、ユニヴァーサルデザイン、キッズデザイン、サステナブルデザインなどの研究、設計手法の開発に幅広く携わる。特に、一級建築士として専門性を活かし、住宅技術や設計・提案手法に新たなデザインの力を拓いてきた。社外においてもキッズデザイン協議会、国際ユニヴァーサルデザイン協議会、建築研究開発コンソーシアムなどでの活動を通じ、社会課題の解決に力を注ぐ。

※フォーブス ジャパンは昨年12月19日、日本最大規模の女性アワード「JAPAN WOMEN AWARD 2016」を発表。“働きやすさ”ではなく“真の女性活躍”の促進・発信を目指す同アワードで、穐本敬子氏は革新をもたらすリーダーとして「個人部門賞」を受賞した。

文=みよしみか

この記事は 「Forbes JAPAN No.31 2017年2月号(2016/12/24発売)」に掲載されています。 定期購読はこちら >>

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