これは米国に初登場したロボットコーヒーショップ「Cafe X」での光景だ。1号店は数か月前に香港にオープンしたが、先日、サンフランシスコのショッピングセンター、メトレオン内にもCafe Xが開店した。価格はエスプレッソが2.25ドル、ショートのカフェラテが2.95ドルと、他のカフェに比べて割安だ。豆はVerve Coffee Roastersなど地元カリフォルニアのものを使っている。
サンフランシスコのスタートアップ企業 Cafe Xを運営するのは23歳のヘンリー・フーだ。彼はマサチューセッツ州のバブソン大学を中退し、投資家のピーター・ティールが設立した、大学をドロップアウトした若者のための基金の「Thiel Fellow」から10万ドルの給付を受け事業をスタートした。テクノロジーで人々の暮らしを便利にしようと考えるフーは、コーヒーの注文で列に並ぶことにいら立ち、ロボットカフェのアイディアを思いついたという。
「ロボットを使う目的はコスト削減ではなく、現場の人々の生産性を上げることだ。1日に1,000回もカップを動かすのは退屈な単純労働で、生産的とは言えない。だからロボットにやらせるんだ」(フー)
フーによるとコーヒーの専門家はその技術を、Cafe Xのマシンのレシピ作成に発揮できるという。コーヒーロースターのパートナーはCafe Xで望み通りのエスプレッソが淹れられるようマシンを調整する。
「ロボット化」は飲食ビジネスのトレンドに
とは言え、フーのビジネスモデルは、人を減らすことでコスト削減につながる。Cafe Xにはマシンを管理し、顧客の注文をフォローする1人のスタッフしか必要ない。Cafe Xでは1時間に最大120杯の飲み物が作れるといい、フーは店舗拡大に向けて一店舗の開店にかかる費用を普通のカフェよりも安い25万ドルから35万ドルと想定している。
Cafe XはシードラウンドでKhosla Ventures、Social Capital、Jason Calacanis、Felicis Venturesなどから500万ドル(約5億6,700万円)を調達。ベイエリア周辺のテック企業にプライベートカフェの導入も行っている。
飲食業の自動化を目指すテックスタートアップはCafe Xだけでない。サンフランシスコのレストランEatsaは、オーダーの注文や配膳をロボットが担当する。ただし、調理を担当するのは人間だ。サンフランシスコのMomentum Machinesは全自動ハンバーガー製造ロボットを開発したが、店舗開設には至っていない。カリフォルニア州マウンテンビューのZume Pizzaは配達中のトラックでロボットがピザを作るサービスを展開している。