投資先のトップは米国で投資額は143億ドルに及んだ。続いて香港、マレーシア、オーストラリアといった国々が上位に並んだ。英国は5位で前年度から一つランクを下げた。
JLLは2017年の投資額については、中国政府の引き締め政策により前年度を下回ると見ている。政府は元の下落を招く資金流出に懸念を高めており、100億ドル以上の海外投資案件を原則として認めない方針も打ち出した。さらに、国有企業による10億ドル以上の不動産購入に制限を加えている。
市場関係者らは今後、政府はさらに規制を強めると見ている。米国の不動産開発関係者の中には、規制の影響で中国との不動産取引に遅れが出始めていると述べる者もいる。
しかし、JLLによると中国人の投資意欲は依然として活発で、人民元が下落する中で海外での投資機会を積極的に模索しているという。「今後数年の間、世界の不動産市場において中国人投資家は主要な勢力であり続けると見ています」とJLLのグローバル担当者は述べた。「ただし、2017年に関しては規制の影響で、減速を予測します」
米国でも昨年、最も注目を集めた中国からの投資案件のいくつかは不動産買収だった。9月には安邦保険集団が、フォーシーズンズやリッツカールトンなど高級ホテル16軒を65億ドル(約7,500億円)で買収した。
また、10月には富豪の陳峰氏が率いる海航集団(HNAグループ)が、ヒルトン・ワールドワイド・ホールディングスの株式約25%をブラックストーン・グループから約65億ドル(約6760億円)で取得すると発表した。
中国マネーの行き先は建物だけでなく、土地にも及んでいる。投資先は香港やオーストラリア、マレーシアに広がっており、土地の購入額は昨年44%の上昇を遂げた。昨年、中国のBoyuan Holdingsはシドニー西部の40.5ヘクタールの土地を7,000万豪ドルで購入した。また、中国五鉱集団公司(Minmetals)は8月に香港の土地を40億香港ドル(約584億円)で購入した。