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米国の景気後退リスクは小さくない

前回のインタビュー(Forbes JAPAN 2016年2月号)では、2008年以来続いてきた「ニュー・ノーマル(*1)」は今後数年で終わりそうだが、その後に直面する「T字路(*2)」で世界が左右どちらの道に進むかは予測できないとお話ししました。

その後これまでに我々はいくつか学んでいます。ひとつは、今、私たちが進んでいる道はさらにストレスを受けており、そろそろ終わりそうだということ。先ほど述べたように経済、金融、機関、政治という4つの次元におけるさまざまなショックの連続を目の当たりにしてきました。

迫りくるT字路のどちらの道を選ぶかについて、私の見方は変わりました。良い方向と悪い方向を我々が選ぶ確率は50対50だと、前回はお話ししましたが、今では悪い方向へと曲がる確率が65%で、いい方向へ舵を切る確率が35%になっているように思われます。

1月に出した著書(The Only Game in Town: Central Banks, Instability, and Avoiding the Next Collapse)(邦訳『世界経済 危険な明日』)で私は、17年にアメリカが景気後退に入る可能性は約30%だと予測しました。今でも、その確率は変わらないと考えています。

30%というのは低い確率に思えるかもしれませんが、実は大きなリスクです。

景気循環にもとづいた見方では、アメリカ経済は国内消費に支えられて1.5〜2%の成長率を維持することになります。アメリカでは過去7年間に1,400万人分以上の雇用が生み出されており、この雇用創出に今では賃金の上昇も伴っている。景気循環を考慮すれば、アメリカ経済にはモーメンタムがあるということになります。

それにもかかわらず、景気後退を避けられる可能性が70%にとどまっているのはなぜか。その答えは3つあります。

第一は、アメリカの成長に対する構造的な逆風。第二は、アメリカ以外の世界各国がアメリカより弱いポジションにあること。そのため、世界全体に対する逆風も考慮しなければなりません。そして第三は、金融市場がファンダメンタルから大きく隔たっていて、金融面での不安定性が高まるリスクがあることです。

この3点を考え合わせると、アメリカ経済が成長を維持する確率は70%であるものの、リセッションに陥る確率も30%あるということになるのです。

現時点でアメリカ経済の最も弱いポイントは、企業が生産施設の新設や機器の新規導入への投資を抑えていること。彼らはキャッシュは持っています。ところが、アメリカ経済の将来に確信が持てていないのです。

アメリカの雇用情勢は、3種の指標をベースとすれば良好に見えます。その指標は月次の雇用者増加数と失業率、そして賃金上昇率で、特に4.9%という10月の失業率は歴史的な低水準でした。

ただ、それほどよくない指標がひとつあります。就業率が59.7%(16年11月)と、数十年ぶりの低レベルにあって、これが懸念されます。労働市場が回復を続けているとなれば、もっと多くの人々が労働力として戻ってくるはずなのに、あいにく、これまでのところ、そういう状態になっていません。アメリカ経済の長期的な健全性にとって、もっと多くの人々が労働市場に戻ってくることが大切なのですが。

とはいえ、16年12月15日に開かれるFOMC(連邦公開市場委員会)では利上げが決まる可能性が高いでしょう。労働市場も回復しているし、賃金も含めてインフレが加速していている。超低金利政策の期間が長引いたために金融面での不安定性が今後拡大していくことも、利上げの要因になります。

インタビュー=谷本有香 翻訳・編集=岡田浩之 

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