ビーチャムが2010年に共同で創業した同社は、契約した化粧品会社のサンプルを会員に毎月送付するサービスで成長。会員数は世界全体でおよそ100万人に達し、これまでにベンチャーキャピタルから8,000万ドル(約92億円)の調達に成功した。
ただ、このうち昨年8月に調達した1,500万ドルは、数年前から市場の飽和と採算性の悪化に直面していた「定期宅配」というサービスモデルへのてこ入れに充てるのが目的だった。そのバーチボックスが今、近い将来に見据えているのはどのようなものだろうか。
「心地よさ」を与えるブランドへ
ビーチャムは、「ウェルビーイング(幸福)」を目指すことは今後、ストレスへの対抗手段ではなく私たちの「生き方」に変化していくと考えている。最高に調子が良い状態維持することは、自分自身という「全体」を意識する感覚を持つことになり、その意識は私たちに、先行きが不透明なこの時代にも「何かにしっかりと根付いている」という感覚をもたらしてくれるのだという。
また、ビーチャムによれば最近では、「活力にあふれていること、幸福であること」を競争上の強みと捉える女性が増えているという。女性たちのそうした変化によって、美しさのためにお金を使うことは外見を良くすることであると同時に、「心地よさ」を手に入れることにもなっている。
「消費者は、そのブランドについて前向きな気持ちを持っていなければ、商品を購入しようと思わない。企業と感情的なつながりを持ちたいと考える傾向が消費者に目立ち始めたのは数年前からだ。今年はそうした気持ちが企業への期待に変わると考えている」
ソーシャルメディア時代の小売業
同社が起業した2010年は、ソーシャルメディアを通じて消費者が直接、企業幹部と接することができるようになった年だった。