多くの人たちは過去の発言から、ドナルド・トランプ大統領は州権を尊重するか、少なくとも医療大麻については認める考えだろうと推測している。だが、トランプが前言を撤回することがないという保証はない。さらに、司法長官への就任が承認される見通しのジェフ・セッションズは、大麻合法化に批判的なことで知られている。長官になれば、規制強化に乗り出す可能性もある。
大麻関連の情報を専門に扱う「マリフアナ・ビジネス・デイリー」によれば、大麻業界には今後、次の5つのシナリオが考えられる。
1. 医療用、嗜好用含めて大麻業界に「宣戦布告」
トランプはバラク・オバマ前大統領に関わる全てのもの消し去りたいと考えているようだ。約2,200万人から医療保険を奪い、保険業界を混乱に陥れようとするトランプにとっては、大麻産業の従事者など取るに足りない数だろう。
嗜好用大麻を禁止する可能性も、関連企業の業務停止や資産差し押さえを命じる可能性もある。
2. 医療用のみ現状維持
政府は起訴する可能性がなくても小売業者の家宅捜査を行い、在庫や売上金などを没収することができる。大半の業者は勝ち目のない政府との法廷闘争に向けた費用を賄うことはできない。
そうなれば、嗜好用大麻の合法化に賛成した住民らに代わり、各州が政府と裁判で争うことも考えられる。カリフォルニア州はこうしたことが起きた場合に備え、エリック・ホルダー前司法長官を任命し、準備を進めているようだ。
3. 合法化に関する今後の決定は延期または阻止(すでに合法化の州は現状維持)
トランプ新政権には医療保険など優先して対応すべきその他の問題が数多くあり、大麻問題への対応は先延ばしになるとみる人は多い。だが、新たに大麻の使用を認めようとする州には待ったをかける可能性がある。
あるいは、意図的に態度を曖昧なままにする可能性もある。その間、各州は政府の出方を見極めるまで身動きが取れなくなるだろう。
4. 現状維持──変化なし
何も起こらず、何も変わらない可能性もある。世論調査の結果、米国民の大半は合法化を支持していることが分かっている。そして、合法化した各州は、新たな税収源の恩恵を享受している。
新政権が行政サービスを縮小した場合でも、各州にそれに対応できるだけの税収があれば、サービスの継続も容易になる。
5. 全面的に支援
トランプ大統領も閣僚やその候補の多くも、結局のところはビジネスマンだ。トランプは国内の雇用を増やしたい。そして大麻産業は全米で10万~15万件の雇用を創出している。それに、多くの国民の支持を得ている業界だ。トランプは人気のある側の味方に付くことの方を好む。
これら5つのうち、現実になる可能性が最も高いはどの状況だろうか。マリフアナ・ビジネス・デイリーは、現状持続だと予想している。