今年のスーパーボウルではレディー・ガガが、トランプへの抗議パフォーマンスを行うことが期待されているが、彼女も当然ノーギャラだ。過去のコールドプレイやビヨンセ、ブルーノ・マーズ、マドンナ、ケイティ・ペリーらも出演料は受け取っていない。奇妙に思うかもしれないが、それが現実なのだ。
一方で広告業界の関係者らは、米国だけで毎年1億人以上がTV視聴を行うこのイベントが、比類なき広告露出の機会であることを心得ている。なかでもハーフタイムショーに対する企業の関心は強く、わずか30秒のCM枠に500万ドル以上を投じる広告主らが殺到する。
レディー・ガガがノーギャラだという話は衝撃的かもしれないが、これは理にかなった話なのだ。ガガはスーパーボウル後にツアー予定を発表すると見られており、ハーフタイムショーは絶好のプロモーションの場になる。かつて2億3900万ドルを売り上げた、2011年のモンスターボールツアーの再現も期待できそうだ。
1億人がテレビ視聴する巨大イベント
3年前のブルーノ・マーズの場合は、スーパーボウルの翌週にアルバム「Unorthodox Jukebox」がビルボードのチャートを7位から3位に急上昇し、売上は8万1,000枚に及んだ。ビヨンセの場合も2011年のアルバム「4」が、出演直後に59%の売上増を記録した。
ニールセンとAdweekのデータによると、2016年の第50回スーパーボウルは1億1,190万人の視聴者を獲得し、視聴者数で米国のテレビ史上第3位という記録を樹立した。2015年のデータでは視聴者のうち4,970万人が18歳から49歳の年齢層となっており、これはガガには最適なオーディエンスとも言えるだろう。
運営側はガガに出演料を支払わない代わりに、ステージ制作に関わる費用の一切を負担する。ガガのステージには600万ドルから1千万ドルという莫大な費用がかかるとされている
全てが順調に進めば、レディー・ガガには過去の出演アーティストらと同様の恩恵がもたらされるだろう。昨年の大晦日にはマライア・キャリーがステージで大失敗をやらかしたが、筆者は今年のスーパーボウルでガガが素晴らしいパフォーマンスを披露し大きな収穫を得ることを期待している。