iPhone 8が「遠隔充電に対応」説はデマ アナリストらが指摘

Attila Fodemesi / Shutterstock, Inc.

今年中に発売が予定される「iPhone 8」に関する憶測が飛び交っている。しかし、ここにきて最も期待された遠距離ワイヤレス充電機能が実装されない可能性が浮上した。

遠距離ワイヤレス充電は、端末を充電器から半径約4.5メートル以内に置くだけで充電ができる給電技術だ。しかし、アナリスト集団Copperfield Researchは、最新レポートの中でiPhone 8にこの機能は搭載されないと述べている。

iPhone 8が遠距離ワイヤレス充電に対応するという情報が広まったのは、2015年初頭にこの技術を公開したEnergous社のCEO、Steve Rizzoneが「世界最大手のコンシューマ・エレクトロニクス企業と業務提携を締結した」と述べ、提携先がアップルであることをほのめかしたことに端を発する。しかし、Copperfield Researchは、「事実を積み重ねた結果、アップルがEnergous社の技術を採用する可能性はない」と断言する。

1. 「充電パッド式」を採用か

Copperfield Researchによると、アップルは2013年以降、インダクティブ充電に関する特許を12件以上取得している。これらの技術は、ワイヤレスパワーコンソーシアム(Wireless Power Consortium; WPC)やパワー・マターズ・アライアンス(Power Matters Alliance; PMA)の規格と同じく電磁誘導コイルを使用し、充電パッドに端末を置く必要がある。サムスンの「Galaxy S」や「Galaxy Note」シリーズもこれらの規格に対応している。

一方で、Energousが開発した「WattUp」は無線周波数(RF)を使い、充電器に接続しない「真にワイヤレス」なテクノロジーだ。Copperfield Researchによると、アップルは2011年にインダクティブ充電に関する特許書類の中で、RF充電について「とても非効率」「実用的でない」「事故につながる危険性がある」などと述べているという。RFはあらゆる方角に放射されるため、充電したい端末にはその一部しか届かないというのがアップルの主張の根拠となっている。

2. 別企業との提携が進行中

Copperfield Researchによると、アップルは最近Lite-On Semiconductor社とパートナーシップを締結し、同社からワイヤレス充電用のブリッジ整流器の提供を受けるという。ブリッジ整流器は、交流電流(AC)から直流(DC)へ変換する。これはインダクティブ充電には欠かせない装置であり、アップルが引き続きインダクティブ充電に強い関心を持っていることがわかる。もしアップルがRFによる充電を目指しているのであれば、Energous社も既に同じ機能を備えたモジュールを開発しており、Lite-On Semiconductor社と提携する必要はない。
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編集=上田裕資

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