高い走行性能と信頼性をクルマに求めるそんな竹内氏にとって、日本で過ごす日々は、ヒマラヤのダメージを回復させる休養の時間でもある。だから日本では山登りより、沢を分け入り渓流釣りを楽しむことが多い。
「日本でクルマを運転するのは、都心から離れ、湖や清流へと向かう時。クルマは自然とつながる道具。都市の道路も未舗装の山道も、どんな路面でもしっかり走り抜ける走行性能と、人をしっかりと守ってくれる信頼性を求めます」
この日は、学生時代から何度も訪れた八ヶ岳で、アウトランダーPHEVのステアリングを握る。
「実に静かでスムーズですね。私は、電動車両は内燃機関を搭載したクルマに近づけようと開発を重ねていると思っていましたが、アウトランダーPHEVを運転すると、エンジン駆動のクルマとは違う進化を遂げていることに気づきます。単純に、電気で動くのではなく、電気だからできることを追究し進化している。ツインモーター4WDのシームレスな動きは動物の動きに近いといえるでしょう。人や動物は、継ぎ目なく動き、次第に加速して、そして継ぎ目なく止まる。その一連の自然な動作の繰り返しが、無駄なく美しい動きを生み出します。私も山を登る時は、できだけ無駄のない歩みを心がけますが、アウトランダーPHEVはそれに似た動きをするクルマだと思います」
人は歩く道の状態に合わせ自然に身体の動きを切り替え、安定して歩き続けることができる。「舗装された路面から悪路に入った時も、人の無意識の歩みと同じように、路面の差をほとんど感じないほどスムーズだった」と竹内氏。
三菱自動車が目指した「意のままの操縦性」と「卓越した安定性」を、高次元で体現する車両運動統合制御システム「S-AWC」。アウトランダーPHEVに搭載されたこの技術は、クルマが自らの身体の延長に感じられるような、ドライバーとの自然な一体感を生み出していたと竹内氏はいう。