ビジネス

2017.01.25

インスタグラムの流行ワードから見る、「女子の隙」をつく3要素

shutterstock.com

「LJK」という言葉をご存知でしょうか? インスタグラムで「LJK」という言葉を検索すると、なんと22万もの投稿が出てきます。Lはラストの頭文字、JKは女子高生の略語で「ラスト女子高生」、つまり高校3年生女子のことを指します。

女子高生最後の学年、「女子高生でいられる今のうちに」みんなで制服を着てディズニーランドに遊びに行って制服を満喫したり、「女子高生である今だからこそ」毎日のとりとめもない想いを日記に綴り始めてみたり・・・。「今のうちに」「今だからこそ」という限定感が女子高生を行動にかきたてるのでしょう。

それでは、この習性は青春真っ只中の女子高生だから当てはまるものかというと、そうではありません。似たようなニュアンスを持つ言葉に「卒花」というものがあります。これは「卒業した花嫁」の略語、結婚式を終えた花嫁のことを指します。

「LJK」に負けず劣らず、「卒花」とインスタグラムで検索すると、21万の投稿が出てきます。結婚式を終えて、自身の人生最高の日を振り返るとともに、これから結婚式を迎える花嫁(「プレ花嫁」といわれます)の先輩として、参考になる情報や経験、感想をシェアしているのです。

女子高生でいられる最後の1年間。花嫁として一生分のスポットライトを浴びるような1日。この「LJK」「卒花」というワードには、心をくすぐる刹那を感じさせるという共通点があり、また、ここに女子の“3つの隙”を垣間見ることができます。

aaa
どんな“隙”か?

まずは、限定感に弱いということです。「LJK」も「卒花」も、期間が区切られ意識化され、それが今やらなければならないという使命感に繋がっています。こうした消費行動があるからこそ、いわゆる期間限定商品が世に絶えないことは自明ですが、期間限定のポッキーやパッケージ、割引など“モノ”でなく、期間限定の『私』という“消費者主語”をとらえると、さらに狙いどころは広がり、心をゆさぶる強さも増します。

次に、発信する機会を求めているという点です。このSNS戦国時代において、顔を出さずとも「自分も発信してみたい」という願望をこっそりもっている女子は少なくありません。でも“こっそり”しているため、何か口実がほしい・・・。

そこでこのキーワードが役目を果たします。一歩踏み出せない女子たちに、「みんながやっているから」「なんか流行っているから」といういわば「赤信号みんなで渡れば怖くない」のようなモチベーションを与える。それが「今しかできないから」という限定のノリとの相乗効果を発揮し、発信が後押しされるのです。

そして最後の“隙”は、誰かとの共通言語を創り出して繋がりたいという点です。

インスタグラムなどネット上では、同じワードをきっかけに会ったことも話したこともない人が多数繋がることができ、それが一種のコミュニティと化しています。そこには、同じ境遇同士でアドバイスを出し合ったり、思い出を分かち合ったりできるという新しい世界が広がっています。

会ったことなんて一度もないのに、ずっと前から知っていた気がする。そんな錯覚を生むのも、このコミュニティならではの現象で、その心地よさ、新鮮な楽しさが、女子の心をとらえているのです。

今回取り上げた注目ワードから見られる、“女子の隙”ポイントは、改めて考えると女子に限らず老若男女あてはまる購買意欲スイッチですが、女子高生や花嫁のように「ある特別なライフステージ」にいる女性には特に、効果的にはたらくのだろうと考察できます。

そして、その刹那を共通言語で分かち合い、人一倍楽しんだ女性たちは、一定期間を終えた後も自ら自身の輝き方を見つけ、創り出していくのではないでしょうか。流行語が生んだ、この2つのクラスタから何か新しいビジネス、大きなムーブメントが生まれる日がくるかもしれません。

文=山田 茜

タグ:

ForbesBrandVoice

人気記事