女性起業家と女性議員、年齢も職業もバックグラウンドも違う二人が、“若者の活躍”について考えていることとは-。
若手の起業のネックは「学校」
「日本の起業率は5%。アメリカやイギリスの15%に比べると低い」(金子氏)という現状について、中学在学中に起業している椎木氏は「若者の起業を阻む最大の原因は学校」と指摘する。
「日本ではアルバイト禁止の学校がほとんどで、起業=金儲けという先入観を持つ先生も多く、そうそう受け入れてもらえない。私は屈せずに起業しましたが、普通の中高生なら心が折れてしまうと思います」と自身の経験を振り返った。起業から数年、それほど環境に変化は感じないという。
また高校時代には営業先で「部活やバイト感覚」と言われ相手にされなかった経験を踏まえ、学校に限らず世の中が学生の起業を受け入れられていない現状を問題視。「出る杭は打たれる、という日本人の根本的な思考が変わらない限り、起業する若者を増やすのは難しいのではないでしょうか」と疑問を呈した。
これに賛同する金子氏は「確かに、日本では学校でのキャリア教育が確立していません」と吐露。
小学校から就職に向けて指導を始めるドイツを例に挙げ、「早い段階で仕事や労働に対して意識を持ち、自分にとってどんな技術が必要なのかを調べさせる訓練が必要です。現在政府には、国民が自分の好きな物や趣味を仕事にできるよう支援する動きがあります。時間はかかりますが、いろいろな働き方が認められる社会を目指して、キャリア教育の浸透を進めていきたい」と語った。
第一線で活躍する女性になるには
トークセッション後、女子高生からは「若者が活躍する必要性は?」「日本の育休制度はもっと充実するのか?」など率直な質問が寄せられた。中でも会場が沸いたのは、二人に憧れを抱く学生による「かっこいい女性になるためにはどうすれば良いのか」というものだ。
「何よりも大切なのは経験です。私自身、失敗や恥ずかしい経験もたくさんありますが、全て自分の財産です」と答えた金子氏は、ロールモデルを見つけることが近道だという。「自分が理想とする女性を見つけてください。私にもいます。理想像があれば、人はおのずと努力するものです。そしてそれに近づくためにやるべきことを見つけたら、人目を気にせず踏み出してください」と語りかけた。
一方、小学校時代は陰気だったという椎木氏は、“中学デビュー”を心に決めて取り組んだという秘策を伝授。それは「“オーラ”、“出し方”でグーグル検索して出てきた方法」だと言う。
「小学6年の春から中学入学まで、毎日鏡に向かって『私はすごい!』『かわいい』と自分を褒めていました。ネット情報で科学的根拠があるのかわかりませんが、不思議と徐々に自信がついて、1年後には考え方が変わっていました」と、心の持ちようで前向きになれることを伝えた。
経済や社会の絶え間なき成長に、熱意あふれる若者は必要不可欠だ。性別や地域、年齢の壁を超えて誰もが活躍できる社会を実現するため、椎木氏や金子氏をはじめ多くの人々が動き出している。参加者であり、今後の日本社会を担っていく女子高校生達は、熱意を胸に、希望に満ちた眼差しで活躍する二人を見つめていた。