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2017.01.20

中国発「乗り捨て自由」の自転車シェア、米上陸計画に地元反発

中国でBluegogoの自転車に乗る筆者(Photo by Liz Choi)

貸出・返却用のステーションを持たず、どこでも乗り捨て可能な自転車シェアシステム「Bluegogo(ブルーゴーゴー)」を提供し、中国で瞬く間に成功を収めたスタートアップ企業「小藍単車」が、米サンフランシスコへの進出計画で現地の反発を呼んでいる。

Bluegogoの自転車にはGPS機能と太陽発電パネルが搭載され、利用者は従来型サービスのようにステーションを利用するのではなく、使い終わったら街頭のどこにでも乗り捨てることができる。中国では深セン、広州、成都の3都市に計7万台が投入されており、街中を少し歩けば使われていない自転車がすぐ見つかる。

利用者は携帯アプリを使い、料金の支払いや、自転車の位置検索と施錠・解錠をすることができる。私も試してみたが、ステーションへの返却とクレジットカード決済が必要な従来型サービスが原始的に思えるほどの便利さだった。

私は数週間前、深センにある同社の研究開発施設を訪れた際、同社がサンフランシスコ進出を検討していることを知ったが、オフレコの情報だったので記事にすることはなかった。だが最近になってこの情報が公になるやいなや、サンフランシスコの地元メディアがこれを相次いで報じ、市当局が警告を発する事態に発展してしまった。

メディアは一様に批判的で、「自転車シェア会社、サンフランシスコの街頭に無許可で数千台の自転車投入か」(サンフランシスコ・エグザミナー)、「市当局、中国自転車シェア企業の無許可開業に警告」(FOXニュース同市支部)、「サンフランシスコ、自転車シェア会社に法的措置を警告」、「中国企業のバイク設置計画、サンフランシスコで怒りの声」などといった見出しが躍った。

市当局は、中国企業が許可を申請せずに数百~数千台の自転車を街中に放置しようとしたことに怒りを募らせている。人生の半分をカリフォルニア州で、残り半分を香港で過ごした私に言わせてもらえば、自転車をどこでも自由に乗り捨てられるサービスは、規制や役所での手続きを重んじる米国では恐らく常識はずれなのだ。

私はアジア圏での暮らしも気に入っているが、タイやベトナムなどの東南アジアや中国では規則や法律を守らない風潮があることも事実だ。とはいっても、強盗や殺人が横行しているという意味ではなく(暴力事件に巻き込まれる可能性はアジアの大半の地域よりも米国の方が高いだろう)、免許や許可などの手続きが軽視されるという意味だ。
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翻訳・編集=遠藤宗生

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