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アメリカでも日本でも、STEM分野の男女差があることは、大学関係者、政策担当者の間で問題視されているが、改善は容易ではない。アメリカでは、2005年に、L・サマーズ(当時)ハーバード大学学長が、内輪の研究会で、科学分野での女性の進出の遅れについて、「生来の適性の差(innate difference)」という仮説もある」と発言したが男女差別であるという批判を生み、学長辞任に発展したこともあった。日本は、内閣府の男女共同参画事業で、理科系女子(リケジョ)を増やそうとしている。

健康分野でも、ほとんどの国が高得点なので順位はスコアの僅差で大きく変動する。日本は、あと0.001ポイント高ければ、40位ではなく1位になっていた。「健康」も「教育」も平均スコア自体がほぼ満点に近い国が多く、全体スコアに対しては、これらの順位の差はほとんど、無意味である。

「政治」分野の評価項目は、国会議員の男女比が偏っていること、女性閣僚の比率が低いこと、女性首相が誕生していないこと、などが響いて、低評価(103位、スコアは0.103)となっている。

「経済」分野の評価項目では、労働参加率、賃金の男女差はそれほど大きくないものの、収入の男女格差が大きいことが低評価となっている。これは、女性にはパートタイムが多いこと示唆している。収入の推定方法が15年から16年にかけて改定されたことも、ランキング下方修正につながっている。しかし、低評価の一番の原因は、社長、取締役などのリーダーに女性の数が少ないことである。

総合評価は、4分野のスコア、経済(スコア0.569)、政治(0.103)、教育(0.990)、健康(0.979)の単純平均をとって、0.660となり、このスコアの順位が111位ということになっている。こうしてみると、111位の原因の大半は、政治家(国会議員、閣僚、首相)と企業幹部(社長、取締役)に女性が少ないことである。

「男女共同参画」旗印を生かせ

政治家、企業幹部の女性比率を上げるためにはどうしたらよいのだろうか─。国会議員、閣僚については、「女性枠」を明示的に設けない限り、選挙の結果を左右するような有効な手段はない。しかし、日本では、たとえば国会議員に男女別の選挙をおこなうという提案はおそらく受け入れられない。女性閣僚は、第1次小泉純一郎政権(01〜02年)が5名の女性を起用してから、数を増やそうという努力のあとは見られる(現在の第3次安倍晋三第2次改造内閣では、20名中3名)。今後も、能力がある女性は民間人登用も含めて積極的に取り組むことで、若い女性の憧れになるような取り組みが重要である。

企業幹部のほうも、単に「女性枠」を設けるという発想ではなく、「女性登用が企業の利益にとってプラスになる」というロジックを開発、証明することが重要である。さまざまな視点(diversity)があることで、新規事業の成否の判断がより的確になる、不祥事を防ぐことができる、危機対応能力が高まる、と言えるのではないだろうか。

すでに「男女共同参画」の旗を掲げているのであるから、女性の活躍のためには、ランキングを引き上げることが自己目的化しない範囲で、このランキングの他の先進国とどこが異なるのか、という視点を持つことも、よいかもしれない。

文=伊藤 隆敏

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