「ジェンダーギャップ指数」世界111位、日本の問題と解決策は

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世界経済フォーラムが毎年発表する「グローバル・ジェンダー・ギャップ指数」。男女平等ランキングで過去最低の111位だった日本。その構造的な問題と解決策とは。


世界経済フォーラム(WEF)による2016年版「グローバル・ジェンダー・ギャップ指数」が10月25日に発表された。政治、経済、教育、健康の4分野のデータをもとに男女格差を分析した指数である。今年の調査対象144カ国のうち、日本は111位と、過去最低の水準になった。表1で、2016年ランキングの一部を示している。アイスランド、フィンランド、ノルウェー、スウェーデンという北欧系諸国が上位に並んでいるのは予想通りだ。とはいえ、上位の中には、違和感のある国もある。5位ルワンダ、7位フィリピン、10位ニカラグア、12位ブルンジ、14位ナミビアなどは、女性の活躍が目立つといわれても、多くの日本人にとってはピンとこないであろう。このような国では、基本的な「健康」や「教育」の分野で女性の活躍が妨げられているのではないかと直感的に感じてしまう。ただ、ここで測ろうとしているのが、男女差(ジェンダー・ギャップ)であるので、極端な話、男女(の平均)がともに不健康、同程度に低学歴、でも、男女差はない、ということで高スコアになる。



次に主要先進国(G7)だけで考えてみよう。ドイツの13位が最高で、フランス17位、イギリス20位、カナダ35位、アメリカ45位、イタリア50位と続いている。日本は大きく離されて111位となっている。日本近隣国では、ロシアが75位、中国99位と日本よりも上で、韓国だけが日本よりも下の116位である。やはり日本は何か大きな問題を抱えているのだろうか。

政治家・企業幹部の登用に差

以下では、ジェンダー・ギャップ指数の「構造」を分析するとともに、同指数が示唆する日本の問題点、解決方法について考えてみたい。今年(2016年)、昨年(2015年)と10年前(2006年)の3時点で、日本の総得点と、分野別のスコアを表2で表示してみよう。順位をくらべると、今年は、昨年に比べると10位、10年前に比べると31位も順位を落としている(10年前は比較対象国の数は少なかった。ただし、昨年と今年では比較対象国数はほぼ同じ)。



日本の得意分野である「健康」「教育」分野では、ほぼ満点(1.0)に近いのに、順位が低いのを疑問に感じるかもしれない。教育分野では、識字率や初等教育、中等教育では男女ともに100%に近い。一方で、大学進学率で男女差があること、さらに科学・テクノロジー・工学・数学(STEM)の分野での男女比が大きく偏っていることが、スコアが1.0(満点)ではなく、0.990となっている理由だ。大学進学率では(絶対値は日本のほうが高いものの)女性のほうが男性よりも高い国もあり、その点は日本が不利になる。
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文=伊藤 隆敏

この記事は 「Forbes JAPAN No.30 2017年1月号(2016/11/25発売)」に掲載されています。 定期購読はこちら >>

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