欧州の大麻合法化は進むのか 選挙の年迎えた各国の現状

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欧州では選挙のたびに争点として取り上げられる大麻合法化の問題だが、大統領選を控えるフランスでも現在、賛成・反対各派の議論が続いている。

ただ、問題になっているのは禁止すべきかどうかではない。多くの人がすでに「不可避」と考えている容認の在り方について、完全な「合法化」とするか、「非犯罪化」にとどめるかという点が争われている。

非犯罪化されれば、フランスでは「マリフアナ」ではなく「カナビス」と呼ばれることが多い大麻の所持と使用は、犯罪行為ではなくなる。ただし、製造と販売は依然として違法だ(オランダと同じ状況になる)。一方、合法化すれば、大麻はたばこと同じ扱いになり、使用も製造も販売も、法的に認められる。

調査会社イプソスが2016年に行った世論調査の結果では、フランス国民の80%以上が現在の法律について効力がないと考えており、一定程度の合法化に賛成する人は52%に上っている。また、同国の薬物・薬物依存監視機構(OFDT)によれば、国民の約1,700万人が大麻を吸ったことがあるという。

だが、ル・ポワン誌は、「効果がないとされている厳格な法律を、フランスは今後も維持するだろう」と予想している。

加盟各国の対応はまちまち

現在のところ、欧州連合(EU)加盟国の中に大麻を完全に合法化している国はない。

それでもチェコ共和国、ベルギー、デンマーク、イタリア、ラトビア、リトアニア、ルクセンブルク、マルタ、クロアチア、スロベニアの各国は、罰金を少額にとどめたり、個人で使用する量であれば所持を容認したりするなど、“ある種の”非犯罪化、または“準”合法化を認めている。

例えばチェコは、2010年に一定量の所持を非犯罪化する法案を可決した。だた、それ以外の関連する行為は全て違法だ。ドイツは「特別な」制度を導入、所持を禁止する一方で、使用については域内で最も寛容な国の一つとなっている。さらに、年内にも医療用大麻の販売を許可制で容認すると見込まれている。

また、ポルトガルは2001年、加盟国で初めて個人的な使用を非犯罪化した。しかし、栽培は個人的な使用が目的であっても依然として違法で、販売も同様の扱いだ。そのポルトガルの法律については、成人の消費量がわずかに増加したものの、若年層での使用は大幅に減少したとの肯定的な影響を示す調査結果が明らかにされている。

一方、イタリアは域内で初めて、ウルグアイに次いで世界で二番目に合法化を実現するとみられている。現在は所持を禁止しているものの、個人での使用と少量の所持は認めている。

スペインでは、成人が私有地で個人的な使用目的のために栽培し、他者のいない私的空間で使用することは合法だ。だが、販売は違法。キプロスは、域内で最も厳格な姿勢を維持している。所持で有罪となれば、最長8年の懲役刑となる可能性がある。

編集 = 木内涼子

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